手のぬくもり
まおです。
既に、朝方の4時とか5時だったと思います。
『まおさん、もうちょっとこっちにおいでよ』と言われ距離を詰めると、手を繋いできた一樹さん。
『(結婚を)「うん」と言って貰えなかったのは残念だけど、出来る限りサポートするから、なんでも相談してね』と言ってくれました。
私は小さく「うん」とうなずきながら、内心ドキドキしていたのですが、間もなく、一樹さんの寝息が聞こえてきました。
上手く表現出来ませんが、一樹さんの寝顔を見ていると、安心出来るというか、ほっこりした幸せな気持ちになります。
一樹さんの暖かい手の温もりを感じながら、ソファーで仲良く眠りにつきました。
下心
目が覚めたのは朝9時過ぎでした。
隣の一樹さんは、まだ眠っています。
一樹さんを起こさないように、そっと抜け出し、朝食の準備をすることにしました。
一樹さんが起きてきたのは10時近く。
休日にじっとしていることのない一樹さんですが、さすがにこの日は『スポーツジムは辞めて、家でのんびりしよう』と。
コーヒーを飲みながら、話は、私がネット検索で探したA総合病院のことになりました。
A総合病院までは、一樹さんの自宅から車で30~40分ほどの距離です。
実は、私の自宅近くに腹腔鏡手術をしてくれる病院がなく、自力で探さなければならなくなった時、私の自宅から東側の病院を探すか、西側の病院を探すか考えました。
でも、この時、私は迷わず西側の病院を探しました。
そう、なるべくなら、一樹さんの自宅に近い病院をと考えていました。
一樹さんに迷惑や負担を掛けたくないと言いつつ、本心は助けてもらいたくて仕方なかったのです。
一樹さんの話だと、A総合病院には歯科口腔外科があって、仕事上のお付き合いのある先生がいらっしゃるので、腹腔鏡の手術をして下さる先生のこと(評判)を聞いておいてくれるということでした。
早速、一樹さんを頼ってしまいました。
寂しいという気持ち
この夜も、一樹さんは、私を車で自宅まで送ってくれました。
自宅が近づくにつれ、いつも何となく寂しい気持ちになります。
この夜は特に、プロポーズを保留にしたことを、申し訳なく思っていました。
「いつも送ってもらって、一樹さんの車を見送る時、なんか寂しいんだよね~」なんて呟くと、一樹さんが『嬉しいなぁ。まおさんも、寂しいって感じてくれていたんだ』と。
『僕もね、帰り道、助手席の見晴らしが良いのが、すごく寂しいんだよ』と笑った。
『でもね、一番寂しいと感じるのは、自宅に着いてリビングのドアを開けた時なんだ』
『ガランとしてて、切なくなるほど寂しいんだよ』
『まおさんと出会う前は、そんなこと1度だって思ったことなかった。一人暮らしは気楽で良いとさえ感じてたのに』
『まおさんのせいだよ』
そんな風に思ってくれていたなんて、知らなかった。
一樹さんに、面と向かって言うのは恥ずかしいので、一樹さんの車が見えなくなるまで見送りながら、心の中で「ありがとう。大好きだよ」と呟いた。