突然のプロポーズ
まおです。
急に黙り込んでしまった一樹さん。
時刻は午前3時を過ぎていました。
ワインも飲んだので、眠くなっちゃったのかな?
「遅くまで付き合わせちゃってごめんね。もう寝ようか?」
返事はありません。
何を考えているのかなと思っていると、ワイングラスをテーブルに置き、私の方を向いて座り直した一樹さん。
『まおさん、籍を入れようか?』
それは突然でした。
結婚しよう。
「籍?」
『そう、結婚しよう。』
「へぇ?」
このタイミングで、そんなこと言われるなんて思っても居なかったので、鳩が豆鉄砲状態でした。
キョトンとしていると、一樹さんが『「へぇ?」じゃなくて「はい!」と言って』と。
状況が飲み込めると同時に、こみ上げるものがあって、そのまま号泣。
可愛らしく泣きたかったのですが、鼻水まで出て来ちゃって、一樹さんが、慌ててティッシュケースを手繰り寄せてくれました。
一樹さんは、手術の前に籍を入れようと言ってくれました。
病院の手続き上も「家族」の方が良いし、一緒に生活していれば24時間サポートしてあげられる。
手術後の検査結果がどうであれ気持ちは変わらないから、1日でもいいから早く籍を入れようと。
そこまで言ってもらったのに、私は何も言えなくて、ただただ泣くだけ。
時間だけが過ぎていきました。
もう一度プロポーズして欲しい
『まおさんの涙が止まるのが先か、ティッシュが空になるのが先か。』なんて一樹さんに笑われて、ようやく泣き止んだ私。
意を決して伝えました。
「凄く嬉しい。嬉しいけど、今は「はい」と言えないよ。でも、もし私のワガママを聞いてもらえるなら、手術の検査結果が出た後で、一樹さんの気持ちが変わらなかったら、もう一度プロポーズして欲しい」
一樹さんは、なかなか「うん」と言ってくれません。
しかし、私の意思が固いと分かると、渋々承諾してくれました。
『また必ずプロポーズするから、絶対に「はい」と言ってね』と。
一樹さんは、私をギュッと抱きしめながら『フラれちゃった気分だ』と笑った。
「振ってなんかないよ。今から「はい」と言う練習をしておくよ」そう伝えました。
一樹さんの気持ちは、とっても嬉しかった。
でも今は、プロポーズをお受けするタイミングではないと思いました。
ちゃんと治療して、健康な心と体を取り戻したい。
そして、一樹さんに相応しい女性になりたい。
再び、一樹さんにプロポーズして貰えるような、魅力的で輝いている自分になりたい。
全てを悪い方にしか考えられなかった私の気持ちを、前向きに変えてくれたプロポーズ。
いつかちゃんと「ありがとう」の気持ちを伝えたいと思う。