恋は盲目
まおです。
どうしてあんなゲス野郎のことを好きになったのか?
今となっては、はっきりとは思い出せない。
正直、焦りもあったと思う。
30歳を過ぎて、このチャンスを逃したらという気持ちもあったかもしれない。
今までの男性とは違うタイプの彼に、母性本能的なものをくすぐられたのかもしれない。
とにかく無口で、余計なことを言わない彼に、母のような気持ちで接していた気がする。
年齢も近く、甘えたがりの私に、甘えることを許さない恋に、酔いしれていたのかもしれない。
恋愛って、思い通りにいかないことに、ときめいたりするから不思議だ。
おかしいな?
そう思うまでに時間は掛からなかった。
私が電話をする水曜日の20~21時、彼はただの1度も電話にでなかった。
今思えば、私から掛けた全ての電話に、出てくれた記憶がない。
決まって23時近くに、彼の方から掛け直して来て、デートの約束をした。
毎週水曜日は、当直かと思って居た。
あるいは医師と言う仕事は忙しくて、21時には終われないのだと思って居た。
朝8時から働いているの?
それとも夕方から出勤するの?
私は彼に聞けなかった。
聞くのが怖かったのだ。
何故なら、早い段階から変だと思って居たから。
聞いたら二人の関係が終わってしまうのではないかと思い、聞けずに居た。
今思えば大馬鹿なのだけど。
恋は盲目と言うじゃない。
好きになっちゃったんだから、仕方ない。
隠し事は出来ない一樹さん
私が結婚したのは、ゲス野郎と180度性格の違う男性だ。
一樹さんとゲス野郎を比べるのは、一樹さんに対して失礼だね。
一樹さんは何でも話してくれる。
言い方を変えると、黙ってはいられない・・・とも言う^^
思ったことを口に出さないと気が済まないタイプだ。
お昼に戻ってくれば
『体調どう?』
『仕事はかどった?』
『締め切りは間に合うの?』
などど、質問攻めに遭ってしまう。
これは相手のことに興味があるって事だよね。
自分の居ない時間に、相手が何をしていたか?
とても気になるって事だよね。
私は一樹さんが自宅1階の歯科クリニックで治療をしている事を知っている。
それでも「忙しかった?」くらいは質問する。
一樹さんが、半日どんな風に過ごしたか気になるから。
互いのことが気になれば、無口とかお喋りとか関係なく話をする。
それが普通の夫婦や恋人同士だ。
でもゲス野郎は私の1週間の行動を、全く聞いては来なかった。
興味がなかったのだろう。
話などしなくても、ベッドに誘えれば、それで良かったのだと思う。
馬鹿な私だ。