誘うのは私だけ


まおです。

ゲス野郎とも知らず、好きになってしまった男性。

デートの誘いの電話を掛けるのは私。

でも彼は、その電話には決まって出ない。

後から掛け直してきて「OK」と言う。
 

私が誘って、断られた記憶はない。

でも最初の2回位を除けば、彼から誘われた記憶もない。

誘うのはいつも私だった。

好きになっていた。
 

デートは決まって金曜日の夜。

19時に車で迎えに来て貰った。

待ち合わせ場所まで、電車で1時間。

毎週、毎週、通った。
 

デートコースは毎回パターンが決まっていた。

外で食事をして、彼のマンションへ。

マンションでは必ずソファーに横並びに座った。

5分も話をすると、無口な彼とは話が続かない。

すると彼は決まってお姫様抱っこで、私をベッドまで連れて行った。
 

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シャワー

淡泊というのか?

短いと言うのか?

早いというのか?
 

どう表現するのが適切か分らない。

わずかに腕枕をして貰ったかと思うと、彼はシャワーを浴びに行く。

「私もシャワー借りて良い?」

そう言うとバスタオルを貸してくれた。
 

シャワーから上がると、必ず冷たい飲み物を用意してくれた。

自分が使ったコップくらい洗わなくちゃ・・・女子ならそう思う。

でも「そろそろ時間だから駅まで送っていくよ」

そう言われて、コップさえ洗わせてはくれなかった。
 

私は22時のシンデレラか?

どんなときも22時になると帰宅を促された。

外で食事をしてマンションで恋人同士の時間を過ごし、22時ぴったりにマンションを出る。

移動時間も含めたそれは、かなりのハードスケジュールだ。

のんびり話などしている時間はない。
 

会えなかった1週間、何をしていたの?

貴男のことがもっと知りたいのに、話す時間もない。

勇気をもって話をしても、話は弾まない。

「今週はお仕事どうたった」

「忙しかった」

「そう」

「まおは?」

「私も忙しかった」

「そう」
 

何となく気付いていた。

彼は私のことに興味がない。

私が1週間、何をして、何を考えて居たのかなんて、興味の欠片もなかったに違いない。

自分の事を話さない代りに、私の事も聞いてはこなかった。

とても寂しかった。

興味を持って貰えていない。

分っていたけど、気付かない振りをした。

現実から目を背けた。

だって彼を好きになってしまっていたから。
 

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名前を呼び捨て

ゲス野郎は、私の名前を呼び捨てにしていた。

恐らく深い関係になった後だったと思う。

それまでの私は、名前を呼び捨てにされた経験などなかった。

逆にそれが新鮮だった。
 

一樹さんは、今でも私のことを「さん」付けで呼ぶ。

7歳も年上なのに、とうとう呼び捨てには出来なかったらしい。

とうとうというのは、役所に婚姻届を提出した直後に

『これからは、まおさんのことを名前で呼ぶ!』

と呼び捨て宣言したのにもかかわらず、

『やっぱり、まおさんって呼ぶほうがしっくりくる』

とか何とか言って、いまだに『まおさん!』と呼んでいる。
 

大きな体で『まおさん、まおさん!』って呼んでくれる一樹さんが、とても可愛らしく思えるから不思議^^

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