フルコース2時間
まおです。
フランス料理のフルコースは、時間にして1時間半も掛からなかったと思います。
平日でお客が2組しかいないので、厨房も渋滞することなく、スムースに料理が運ばれてきました。
どんな料理だったか、今となっては全く思い出せませんが、コテコテのフランス料理ではなく、カジュアルな感じの料理でした。
ただ、最後のコーヒーだかエスプレッソだかが、吹き出しそうになるほど苦かったのを覚えています。
料理の後、ローソクだけの暗い店内で、向かい合った私達は、ぼそぼそと会話を始めました。
話が弾む・・・と言うことはありませんでした。
ひとつ質問をすると、ひとつ返事が返ってくる。
ふたつ質問をすると、ふたつ返事が返ってくる。
端から見たら、あまり居心地の良いテーブルでは無いことがバレていたと思います。
どちらかというと、無言の時間が怖くって、私の方が喋っていた記憶があります。
しかし一向に弾まない会話。
相手からの質問は『必殺オウム返し』でした。
*必殺オウム返しとは・・・相手からの質問を、そのまま相手に返すこと。
「日々野さんの、お好きな食べ物は何ですか?」
「魚です。まおさんのお好きな食べ物はなんですか?」
「炭水化物です」
そこ!笑うとこですけど!!
と、心の中で突っ込みを入れた記憶があります。
交際するのか?しないのか?
食事を終え車に戻ると、夜の街を軽くドライブしました。
車の中の会話も相変わらずで・・・
でも、聞いたことにはキチンと答えてくれ、ゲス野郎はゲス野郎で話題を考えてくれているようでした。
悪い人ではないんだけれど、会話もちゃんと成立はするんだけど・・・
ちょっと一緒に居て居心地の良くない相手でした。
私も人見知りなので、これまでも最初から盛り上がったことなどありませんでしたが、それでも今回は・・・。
そんなことを考えていると、JRの駅に到着してしまいました。
そろそろ電車の時間です。
助手席でお礼を言って車を降りました。
すると助手席の窓が開いて・・・
「気を付けて帰って下さい。それじゃぁ、また」
それじゃぁ、また?
えっ?次があるの?
天使か悪魔か
帰りの電車は21時を過ぎていて空いていました。
隅の席に腰掛けて、過ぎてゆく景色を見つめながら考えました。
私、気に入られたのかなぁ?
そう思うと、今まで話が弾まなくて、テンション低めだったはずなのに、何だか急に嬉しくなって来ました。
他人に気に入られて、嬉しくない人は居ないでしょう。
よっぽど嫌いな相手なら別ですが、婚活で初めて会ったお相手に「また」なんて言われて、悪い気はしませんでした。
仕事も違えば、地元も違う。
最初から話が弾むなんてことは無理だよね。
今回は共通の話題が見つけられなくて苦労したけど、何度か会ううちに会話も弾むようになるかも。
そんな天使の囁きが、まさか悪魔の囁きだっただなんて。
あの一言がなければ、その後の悲劇は回避できたかもしれないと思うと悔しい。