初めてのデート


まおです。

連れて行かれたのは、駅近くのビジネスホテル1階にあるフランス料理店だった。

駐車場に車を止め、狭い歩道を彼の後について歩いた。

174センチと155センチの2人の視線は、私が顔を上げなければ交差しない。

私は恥ずかしくて顔を上げられなかった。
 

お相手の顔を見たいけれど、隣に並んで歩くのにはまだ早い。

歩道も狭く、店に着くまで、私は彼の背中だけを見て歩いた。
 

着いたのは小さいけれど小洒落たフランス料理店。

ドアの前でサッと体をひるがえした彼は、私を先に店内へ入れてくれた。

レディーファーストだ。

それもさりげなく無言でやってのけた。
 

心の中で「合格!」そう思った。

素直な私は純粋に嬉しかった。
 

しかし今思えば、何人もの女性を、そのレストランへ案内したのだろう。

繰り返し繰り返し案内していくうちに、スマートな身のこなしが自然と身についたに違いない。
 

そうとは知らない私は、心の中で少しときめいてしまっていた。
 

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暗がりの中で

どうやら彼は、事前に予約を入れてくれてあったようだ。

一番奥の「予約席」に案内された。

椅子をひいて貰って着席すると、すぐにワインのメニュー表が渡された。

しかし彼は車だからと断っていた。
 

平日で店内は私達を含めて2組。

ゆっくりくつろげて、話をするには丁度良い雰囲気のレストランだった。

が・・・ちょっと暗すぎる。

テーブルのローソクだけでは、コース料理のメニューが読みにくい。

思わず真剣に料理を選んでいると、彼が「季節のコースで良いかな?」と聞いてくれた。

「あ、はい。お願いします」

こういうときは、男性にリードして欲しい。

大人しい感じの人だけど、仕切るべき時は仕切ってくれた。
 

料理の注文も終わり、ひと段落付いて、私達は改めて自己紹介を始めた。

「まおです。今日はお会い出来て嬉しいです。宜しくお願い致します」

そう行って軽く頭を下げ、正面に向き直ったとき、初めて彼の顔を正面から見ることになりました。
 

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心と体の傷

初めて見た彼の顔は、プロフィール写真そのままでした。

その瞬間、プロフィール写真の意味が分りました。

彼の眼鏡は斜めに掛けられていました。

それが先天的なものなのか、後天的なものなのか、判断がつきませんでした。

別れた今でも正直、わかりません。
 

とっさに、その理由を尋ねたり、話題にしてはいけないと思いました。

初対面で話すのは、失礼なことなのではないかと、とっさに判断しました。
 

でも不思議と嫌な感じはしませんでした。

そんなことで人の価値を判断してはいけない。

私は良き理解者になれる。

そう思ったのです。

何故そんな風に思ったのか・・・

母性本能とでもいうのでしょうか?

体だけでなく心にも深い傷を負ったであろう彼に、同情と言うと失礼かもしれませんが、特別な感情がわき上がるのを感じました。
 

*個人が特定されないように配慮して書いています。そのためフェイクが入る時があります。
*しかしこの先の信じられない事件の数々はリアルです。

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