パソコンの検索履歴
まおです。
私は急いで一樹さんのパソコンを立ち上げ、グーグルの検索履歴を開きました。
するとそこには、リュープリンに関する沢山の検索履歴が残されていました。
秋祭りの夜、寝室のベットを私に譲り、リビングのソファーで眠っていたはずの一樹さん。
しかし、その時間帯に、沢山の検索履歴が残されていたのです。
私が眠ったのを見計らって、こっそりパソコンを立ち上げたのでしょう。
検索履歴は朝方まで続いていました。
良く見ると、その日だけではなく、その日以降、連日連夜の履歴が残っています。
ダウンロードされたファイルが幾つもあり、開いてみると、中には100ページを超える医療関係者向けと思われる、レポートの様な物もありました。
これら全てに目を通してくれたのでしょうか?
ただただ、涙がこぼれました。
感謝
私のことをこんなに心配してくれた人が、かつて居たかな?
ありがとうとか、感謝などと言う言葉では到底足りないのですが、他に言葉が見つかりません。
嬉しくって、有難くって、一樹さんを起こさないように、声を殺して泣きました。
一樹さんは、どんな気持ちでパソコンに向かっていたのでしょう。
そんなことを考えると、涙が止まりませんでした。
物音をたてないように気を付けていたのですが、私の気配に一樹さんが気付いてしまいました。
『どうしたの?まおさん、泣いてるの?』
どうやら、パソコンで病気のことを検索して、悲観して泣いていると勘違いしたらしく、ソファーを飛び越えるようにして、急いで私の元へやって来た一樹さん。
私は泣いている理由を説明しました。
「嬉しくて泣いてるんだよ」
『脅かさないでよ。こんな夜中に、僕のパソコン使って・・・』
「使って良いって言ったよね?」
『だけど、検索履歴を調べるって良い趣味じゃないよ』
「一樹さんこそ、私のスマホの検索履歴見たじゃない」
『お相子だね^^』
「だね^^」
クリスマスツリー
もう夜中の2時近くだったと思うのですが、目が冴えてしまった二人。
少し前に購入し、そのままになっていたクリスマスツリーを飾ろうということになりました。
60センチくらいの小さなツリーですが、LEDライトも付いていて本格的です。
しかし、いざ飾りつけを始めると、写真のようにバランスよく飾り付けるのは至難の技で、イマイチの出来上がり。
どうやら二人とも、芸術的センスに欠けるようで、何度も何度も、飾りを付けたり外したりして、小一時間ほど掛かってしまいました。
せっかくなので、冷蔵庫で冷やしてあった、スパークリングワインで乾杯しながら点灯式!
『これ、ワインと言うよりジュースだな』なんて言いながら飲んでいる一樹さんのワイングラスに、ツリーのLEDライトが映って、とても綺麗。
気が付けば、ソファーに隣り合うように座っていたふたり。
いつもなら初々しい距離を保ちながら座っているのに、今夜は、自然とその距離が縮まっていた。
ちょっと、距離が近すぎないかな?
内心、そんなことを考えながらワインを飲んでいると、一樹さんが黙り込んでしまった。
「どうかしたの?」
そして、この後、一樹さんが言ってくれた言葉に、再び泣いてしまった。
泣いてばっかだ・・・。