休日は良い天気
まおです。
天気も良く、気分も良かったので、お風呂場のお掃除をしました。
『手伝おうか?』と言ってくれた優しい一樹さんだったけれど、休診日くらいのんびり休んで欲しかったので、お断りした。
取りあえず脱衣所のシャンプードレッサーから磨き始めた。
歯磨きもここでするので、鏡に歯磨き粉が飛んでるんだ!
性格的に、これが許せない。
鏡はピカピカでないと気が済まないタチだ。
脱衣所は家事室に続いているので、本格的に掃除を始めると時間が掛かる。
適当なところで切り上げてお風呂場へ。
ふと暗い過去を思い出す・・
最近、暖かくなってきたので、お風呂上がりはちゃんと拭き上げしないと、黒カビが生えてくる。
しかし毎日のことなので、なかなか大変。
今日は古くなった歯ブラシとカビ取り剤を手に、端っこを中心に磨いた。
ついでに排水口も綺麗にしておこう・・・そう思った途端、暗い過去がフラッシュバックした。
何で?どうして今頃?
自分の中では遠い過去で、まさか今、フラッシュバックするなんて思わなかった。
あの時のことは、断片的だけど覚えている。
シャワーを出しっぱなしにして洗い場の音を消し、そっと排水口の蓋を持ち上げた。
他人の風呂場の排水口の蓋を「気持ち悪い」なんて、考えている時間もなかったよ。
そしてすぐに見つかった、ウェーブの掛かった細く長い茶系の髪。
ストレートで黒髪の私の髪でないことは、一目で分った。
『やっぱり』
その時の切なく辛い気持ちが、走馬灯のように蘇った。
何で今頃?
アイスコーヒー
早々にお風呂場の掃除を切り上げてリビングに戻った。
本を読んでいた一樹さんが『お疲れ様。何か飲む?』と聞いてくれたので、アイスコーヒーをリクエストした。
私の目の前にグラスを置く一樹さんの顔を、マジマジと眺めてしまった。
『どうした?何?』
「ううん、別に。ありがとう。頂きます」
『人の顔にらみつけて、変な子だねぇ~』
にらみつけたつもりはなかったんだけどね。
ただ、浮気されたことがトラウマになっちゃって、いつか一樹さんにもされるのかもって、不安に思うことがある。
まさか一樹さんに限って。
まさか自分の夫に限って。
皆、そう思っているのかな。
そう思っていて、浮気されちゃうのかな?
ところでだけど、排水口の件は、私が浮気されたんじゃない。
私が浮気相手だったんだ。
そう、本命は別の女。
そしてややこしい話だけれど、排水口のウェーブが掛かった細い茶系の髪も、本命の女の髪ではない。
そう、別の浮気相手の髪だった。
事実は小説より奇なり。
フェイクじゃなくて、リアルな話。