知ってたよ
まおです。
私の話を、黙って聞いていた一樹さん。
『まおさん、ごめんね。。。』
その声のトーンと雰囲気から
交際を断られると覚悟しました。
仕方ない・・・そう思いました。
しかし、次の瞬間、一樹さんの口から、思いもよらない言葉が。
『まおさん、ごめんね。知ってたよ』
「え、、、?」
『「知ってた」って言うと、言い過ぎだけど、そうじゃないかなって』
「何で?私、話してないよね?」
プチパニックになりました。
スマホの検索履歴
『まおさん、スマホでリュープリン(薬剤名)を検索していたでしょ?』
秋祭りの夜、松浦さんの件で言い合ったあの夜。
私が寝室に立て籠もっていた間に、ダイニングテーブルの上に放置してあった、私のスマホを見たのだそうです。
『沢山のサイトをブックマークしてあったから、もしかしたらと思ってたんだ』
「なんだ、バレちゃってたのか(p_-)」
『言いにくいんだろうと思って、無理に聞かなかったんだ。でも、あの時、話を振ってあげれば良かった。ごめんね。そんなに悩んでいるって、気付かなかったんだ。本当に、ごめんね』
合点がいった。
松浦さんの件で言い合って、最終的に仲直りした後、一樹さんは『心配事は何でも話して。他に何かない?困っていることはないの?』としきりに聞いて来た。
リュープリンを検索していた理由を聞きたかったのだろう。
それにしても『そんなに悩んでいるって、気付かなかったんだ。ごめんね』って。
一樹さん、神だな。
どうして別れ話になるの?
『ところで、どうして別れ話になるの?』
そう言って、一樹さんは笑った。
私は迷惑を掛けたくないこと、負担になりたくないことを伝えた。
『じゃぁ、まおさんは僕が病気になったら「別れたい」って言うの?』
想定内の質問だ。
「仮定の質問には答えられないよ。私が病気になったのは現実だもん」
『あー、まおさん、僕が病気になったら、さっさと捨てる気だね(笑)』
「かもしれないよ」
『僕、残念ながら、そんな薄情じゃないからね。それに「クリスマスイブにプロポーズして」って催促して、僕をその気にさせた責任を取ってもらわなきゃならない』
「ごめんなさい。あれは取消すよ」
冗談交じりに話す一樹さんが、どこまで本気なのかよく分からない。
「明日、私が帰ったら、サイト経由でお断わりしてくれても構わないから」
すると、結構な勢いで怒られた。
『まおさん、俺のこと、その程度の男だと思ってた?そんなに別れたい?』
「別れたくないよ。でも、その気持ちと同じくらい迷惑を掛けたくない」
『全然迷惑なんて思わないよ。でも、まおさんがそう感じるならそれでいい。沢山迷惑かけて欲しいし、沢山頼って欲しい。』
とても嬉しい言葉だった。
でも、子供を産めないかもしれないことは、どう考えているのだろう。