受付が板に付いている
まおです。
最初は嫌々。
と言うか、必要に迫られて仕方なく、歯科クリニックの受付に座りました。
「断る」という選択肢がなかったのです。
受付のユニホームを着て、受付カウンターの中に入ったあの時の気持ち。
悲しかった?切なかった?
いえ、もう開き直っていました。
それからほぼ毎日、受付のお手伝いをしました。
2週間はアタフタあたふたしていましたが💦
ひと月を過ぎた辺りから、何となく楽しくもなりました。
専門知識のないド素人でしたが、ド素人なりに頑張りました。
ある日の昼下がり
その日は休日で、二人でランチを食べているときでした。
『サッパリした物が食べたい』という一樹さんの為に、ツナと大根おろしの和風スパを作りました。
『まおさんのおかげで、分院も上手く回るようになって助かったよ』
「そう?私なんかでも間に合った?」
『十分な戦力だよ!ユニホームも似合うし』
「そうかな?あのユニホーム、私には可愛らしすぎないかなぁ?」
『僕は好きだけどねぇ~。可愛いと思うよ!』
そんな風におだてられ、ちょっと気をよくした私。
食後のコーヒーを淹れに立った私の後ろから、一樹さんが言った。
『まおさん、このままクリニックで働かない?』
はぁ?
「ちょっとぉ、何馬鹿なこと言ってるの?」
『馬鹿とは失礼だなぁ。スカウトしてるのに』
「スカウト?冗談は止めてちょーだい!」
『冗談じゃないよ、本気だよ』
「絶対にやだ!」
喧嘩になった
私が強固に、それも結構大きな声でハッキリと「やだ!」と言ったので、一樹さんはカチン♪と来たらしい。
どうも私が、一樹さんの仕事を否定したように、受け取られてしまったようだった。
そうなるとなかなか厄介でね。
私は、ブライダルとラジオの仕事を本業だと思っている。
てか、これでも社長だし。
それに結婚前は、歯科医院の仕事は手伝って貰う必要はないって言ってたくせにぃ。
『社長業と両立しなよ!』
そう言われて、頭の中で何かがプチン💢と切れた音がした。
ここで取っ組み合いの喧嘩になったら面白かったんだけど(笑)、そうはならなかった。
私、うつ病の薬で、イライラを抑える作用のある薬を盛られているせいか、怒りが爆発しないんだよねぇ。
怒りや悲しみに鈍感になる反面、喜びも楽しみも半分くらいの気持ちになっちゃう。
だから取っ組み合いの喧嘩の代りに、気だるい言い争いになりました。