離婚届
まおです。
この時の続きを話さなければいけませんね。
一樹さんはソファーから立ち上がって、電話の下の引き出しに入っている、結婚指輪のジュエリーケースと離婚届を持って戻って来ました。
テーブルの上にそれを置き、こう言ったのです。
『僕は、まおさんと離婚なんて一度も考えたことがなかった。でも「楽になる」と言われて気持ちが揺らいだんだ』
『僕は、まおさんの隣に居て、まおさんをフォローしてあげることが一番だと考えていた。
もちろん、まおさんのことを愛しているし、一生添い遂げるつもりでいた。
でも、僕と一緒に居ることが、まおさんの負担になっていて、離婚することで、まおさんの気持ちが楽になると言う。
僕がまおさんを一生守ってあげたいなんて思い上がり。これからも一緒に居たいなんて、僕のワガママに過ぎないのかなと思ったんだよね』
涙がこぼれた
私は慌ててしまった。
「楽になるって、そんな意味で言ったんじゃないよ。
一樹さんのことは今も変わらず大好きだし、一樹さんがこれまで一緒にいてくれたから、今こうして自宅で生活できているんだよ。
ただね、役員のこととか、伯父様のこととか、孫を期待されているんじゃないかとか、クリニックのスタッフさんにも負い目があったりして。。。
そう言った全てのことから、解放されたいと思ったの。
決して、一樹さんの思い上がりとか、ワガママとか、そんなことじゃないよ!
そんなことで離婚しようと思ったわけじゃない。
ただ、一樹さんの足を引っ張りたくなかっただけだよ。」
色々話をして、全てを覚えていない。
薬のせいにするのは違うかもしれないけど・・・ホント、薬飲むとボーッとしちゃうんだ。
許して。
15分くらい話をしたと思う。
すると一樹さんが、離婚届を取り出して、最初に自分の名前を書き始めた。
自分から言い出したのに、一樹さんがサインする様子を見ていたら、涙がこぼれて来てしまいました。
書き終わると、
『次は、まおさん書いて』
離婚届を書いたことがないので、さあ書いて、と言われて書くものなんだ、と衝撃でした。
まおさんは今、鳥籠のなかに一人でいて、自分では何も出来ない状態が苦しくて悲しいんだな、と勝手に思いました。
どんな病気の人でも周りの世話になって、助けてもらうのが当たり前ですが、それが耐えられないんですね。
どんな選択をしても、まおさんが楽になれればいいなと、切に願います。
お邪魔します。
昔、鬱の家族の介護をしていて自分も鬱になった経験をしました。
詳細はここでは書けませんが、
一つ言えるのは大事な人に「死にたい」「もうどうでもいい」この言葉を毎日聞いて
心配で心配で、心がズタズタになっていくのを日々感じながらも
それでもそばにいてあげたいと思い続けた結果、自分も鬱になりました。
そのあとからはここでは書けないほどの地獄でした。
一樹さんの先日の反応を読んで、とても心配になっていたので
離婚はこれ以上事態が悪化しないためにも最善策のように思えます。
まおさん、離婚しないで。
私は一時の気の迷いで、大好きな人と別れました。後悔しかありません。
まおさんは、一時の気の迷いじゃないとおっしゃるかもしれませんが、後悔が一生続く人生は辛いですよ。