結婚指輪


まおです。

私が自分の左手薬指から外し、テーブルの上に置いた結婚指輪。

それを一樹さんは手に取り、とても大事そうに握りしめて言った。
 

『まおさん、少し前に話をしたこと、覚えているよね』

「うん、覚えているよ。

私が前に “離婚したい” と言ったとき、一樹さんは、今回だけは聞かなかったことにするって言ってくれたんだよね。

でも、次に私が “離婚” を口にしたら、その時は本当に離婚だよって一樹さんは言った。

その話だよね。覚えてるよ」
 

『誰かに相談したの?』

「うん、既に弁護士さんに相談したよ」

『そうか・・・』
 

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短い結婚生活

一樹さんはソファーに座ったまま、目を閉じて、天を仰いでいるような姿勢を崩さなかった。

その様子を見ていた私は。。。何も感じなかった。

悲しくも無ければ、辛くも無くて。

早く一樹さんに『分かった』と言って欲しくて仕方なかった。
 

私の頭と心の回路はどうなってしまったのだろう。

自分でも涙ひとつこぼれないことに驚いていた。

もう、何でも良かった。

自分が自分で無くなっても良いと思った。

自分で居ることが、苦しくて仕方ないから。

他の誰かになれるのなら、それで良かった。
 

私と一樹さんの結婚生活は、約1年。

短かったような、長かったような。

でも、もうそんなことはどうでも良かった。

面倒くさい話はナシで、一樹さんに離婚の承諾を貰いたかった。

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