一樹さんは午後の診察へ


まおです。

昼食を終えて、一樹さんは午後の診察へ戻っていきました。

土曜日の午後は患者さんの数が多く、一週間の中でも忙しい日。

手が空いたと言って、自宅に戻ってくることは、ほぼありません。
 

私の体調が悪く、一人でベッドで休んでいるときは、午前と午後に一回ずつ様子を見に来てくれました。

でも今は調子が良く、ベッドから起きあがれないような日はありません。
 

お手伝いの山田さんは、現在も週2回、お手伝いに来てくれます。

しかし、それ以外は私ひとりで自宅に居ます。
 

つまり土曜日の15時から18時は、私がひとりになれる時間帯です。

ゲス野郎に指定した時間帯です。
 

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16時過ぎの電話

15時少し前から、スマホを片手にドキドキしていました。

待っている時間が、とても長く感じられました。

そわそわして落ち着かなくて、もう自分から掛けてしまおうかとも思いました。

しかし実際に掛ける勇気はなくて、じっとスマホを見つめていました。
 

スマホが鳴ったのは16時を過ぎた頃でした。

すぐに電話に出れば良いものの、7コール待って出た私。

「待ち構えていた」と思われるのが嫌でした。
 

なんて説明すれば良いかな?

緊張して待っていたと思われたくなかった。

あぁ、そういえば、今日だったわね。。。

アンタのことなんか、その程度よと思わせたかった。
 

2年も前の出来事をぶり返されることに、恐怖で震えていたなんて思われたくなかった。

でも実際は、一樹さんの耳に入れたくなくて、不安な毎日だった。
 

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ゲス野郎の声

私は無言で電話に出た。

「もしもし、日野です。」

懐かしい声が聞こえてきた。

そう、ヘドが出るほど懐かしい声。

吐き気がするほど懐かしい。
 

忘れていた・・・忘れようとしていた過去が、一気に思い出されて吐き気がした。

2年も前のことなのに、すぐそこにあるような錯覚。

まるで昨晩の出来事のように、辛い出来事が鮮明に思い出された。
 

胸が締め付けられるような感覚。

血の気が引いて、その場に立って居られなかった。
 

自分でも驚くほど動揺していた。

人生の中で、こんな気持ちは初めてで、どう表現して良いか分からない。

辛いとか、苦しいとか、切ないとか、後悔とか、どんな言葉も当てはまらない。

嫌だとか、迷惑だとか、いい加減にしてくれとか、何の言葉も出てこなかった。
 

「もしもし、日野ですけど、聞こえてますか?」

「・・・・・」

「まお?聞いてる?」
 

呼び捨てにされた。

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