プロポーズの後にするべきこと
まおです。
一樹さんとの電話を切った後、ふと考えた。
あれはプロポーズだったのか?
仮に、プロポーズたとしたら、この後、何をするべきか?
一応、母には伝えておくべきだろう。
バツイチの一樹さんとの交際を、諸手を挙げて賛成していない母に伝えるのは緊張するが、取り合えずの方向性(結婚に向かう)だけは伝えておかなければならない。
私は、母の居るリビングに向かった。
ドクターX
父は、まだ仕事で戻っていなかった。
母はコタツでみかんを食べながら、録り溜めた米倉涼子主演ドラマ『ドクターX ~外科医・大門未知子~』を真剣な眼差しで観ていた。
「お母さん、あのさ・・・」
『なに?今、TV観てるんだけど』
「そのままでいいから聞いてよ」
『何?』
「私、結婚するかもしれない」
『いつ?』
「夏くらいかな」
『夏はダメだよ。訪問着で袷か絽か紗か、皆が悩むよ』
「大丈夫、式と披露宴はしないから」
『ならいいか』
これで終わり。
結婚ってこんなもんか?
私も悪かった。
大好きなドクターXを集中して観ている母に、割り込んで話をしたから。
だけど、ドクターX9割:娘の話1割って、どう考えてもおかしいよな?
喜ぶなり、反対するなり、何かしら反応が欲しかった。
娘の結婚って、そんな大事じゃないのかな?
それとも、心中複雑であんなそっけない態度になったのかな?
一樹さんのプロポーズも、母の反応も、イマイチ過ぎて、どうしていいか分からない。
結婚なんてこんなものか?
淡々と進んでいくのか?
いや、違うだろう。
互いの両親への挨拶とか、両家の顔合わせとか、結納とか。
まぁ、結婚式と披露宴をしないのなら、そんなに忙しくはならないし、二人のペースで話は進むだろう。
楽ちんだ♪
だけど、これで花嫁衣装も着られないし、友達に花嫁姿も見せられないと思うとちょっと寂しい。
仕事でチャペルに出入りすることが多かったが、決してバージンロードは歩かない(踏まない)ようにしていた。
仕事で結婚式が日常になってしまっても、バージンロードだけは自分の挙式の時に、初めて歩く場所にしておきたかったから。
でも、それも夢になっちゃった。
だけど、大事なのは花嫁衣装を着ることじゃない。
花嫁衣装を着るために結婚するんじゃない。
一樹さんと、ずっと一緒に居たいから結婚するんだ。
それだけで十分幸せだ。