特別送達
まおです。
早朝、豪雨の雨音で目が覚めました。
1日中天候が不安定で、
何か嫌な予感がしていました。
嫌な予感って不思議と良く当たります。
虫の知らせというのかな?
お昼の洗い物をしていると、
玄関チャイムが鳴りました。
モニターを確認すると、郵便局員さん。
チャイムを押すと言うことは・・・
普通郵便ではないな。
書留か何かだろうと思いました。
特別送達
それだけで全て分かりますよね。
裁判所
郵便局の配達員さんは
「まおさんに、特別送達です。」
そう言って、一通の封筒を差し出しました。
確かに、特別送達と記されてありました。
差出人は○○地方裁判所○○支部。
宛名は「まお」になってました。
受け取った時点で、頭は真っ白でした。
玄関に鍵を掛け、上り框に座り込み
震える手で封筒を開けました。
だって、2階のリビングには、お手伝いの山田さんがいらっしゃったから。
山田さんの前では開封できない。
中身は、数千万円の請求書。
回りくどいですか?
早い話が、訴状が届いたと言うことです。
訴額は数千万円でした。
数千円じゃないですよ。
数千万円です(笑)
収入印紙代
原告の名と「請求の趣旨」「請求の原因」だけを見て、全てを把握しました。
訴額からして、印紙代だって馬鹿にならないだろうに。
弁護士さんを頼んで訴訟にしてくるなんて。
相手も本気なんだと思った。
残念ながら、このとき、訴状の内容を詳しく読むことは出来なかった。
内容が全然頭に入ってこなかった。
そのくらい動揺していた。
私がリビングに戻ってこないことを心配して、2階から山田さんが声を掛けてくれた。
「まおさん、どうかなさいましたか?」
「うん、ちょっと・・・ね」
私が座り込んで動かなかったものだから、具合が悪くて動けないと勘違いした山田さんが、大急ぎで階段を下りてきてくれた。
山田さんには見せてはいけなかったのだろう。
でも、その時は、そんなことを判断する力はなかった。
山田さんは私の手の中にある手紙が、何か分からずに受け取ったと思う。
恐らく訴状なんて見たこともなかっただろう。
最初は「何ですか、これ?」
そう言ってペラペラめくっていた。
でも、そのうち原告と被告の名を見て、全てを悟ったらしい。
山田さんの顔が青ざめていくのが分かった。
「一樹さんを呼んできましょうか?」
「ううん。まだ、仕事中だから。
夜、話をするから大丈夫です。」
全然、大丈夫じゃなかった。
だって、その場から立ち上がれなかったもん。