電話の向こう側
まおです。
電話口から、伯父様の怒鳴り声が聞こえた。
「お前達は何を考えてるんだ。
俺を笑いものにして楽しいか!」
まぁ、そんな感じのことを言っていた。
あまりの勢いだったので、一樹さんはボソッと
『鼓膜が破れる・・・』そう言って
受話器から耳を外した。
伯父様の声は、更に大きくなっていく。
「俺が探してきてやった相手と
黙って一緒になれば良かったんだ。
あんな女の言いなりになりやがって。
どこの馬の骨とも分からん・・・」
馬の骨? σ(・_・)
すると一樹さん、大きな声で言ったよ。
『今の発言は
撤回して下さい!』
大切な妻
もし貴方が、夫の親族から馬の骨って
言われたらどうします?
私は過去に、それ以上の暴言を浴びせられて
いたので、何とも思いませんでした。
逆に、ものすごく冷静な気持ちでした。
一樹さんが
『まおさんは、僕の大切な妻です。
今の発言は撤回して謝罪して下さい。
それが出来なければ、
もう貴方を伯父とは呼べない。
二度と連絡はしないで下さい。
まおさんにも近づかないで下さい。』
そう言ってくれたのが嬉しくて。
結局、伯父様が捨て台詞を残して
電話を叩き切りました。
夜桜の下で
受話器を置いた一樹さんと、
思わず顔を見合わせてしまいました。
『めっちゃ怒ってたね伯父さん』
めっちゃ怒ってたって?
一樹さんが、めっちゃなんて普段使わない言葉を
使ったもんだから、思わず笑ってしまった。
「一樹さんが怒らせたんだよぉ(^^;)」
『そだねぇ~』
そう言って、二人で大笑いした。
本当に面白くて笑ったのか?
悲しい気持ちの裏返しだったのか?
言いたいことを言えてスッキリしたからか?
何も解決しないという諦めの気持ちからか?
私も一樹さんも、よく分からないけど
いつまでも二人で大笑いしていた。
そして突然、一樹さんが、
『まおさん、夜桜見に行こう!』
そう言って、身支度を始めた。