それは忘年会の帰り道
まおです。
歯科衛生士の松浦さんが、一樹さんに「先生、私と結婚して」と言ったと聞いて、さすがに驚きました。
みるみる泣き顔になった私を見て、一樹さんは大慌て。
普段、一人でメソメソ泣くことが多い私ですが、一樹さんの前では泣いたことはなかった。
びっくりするくらい、一樹さんは慌てていました。
『まっ、まおさん、話は最後まで聞いて!』
私はギリギリのところで泣き留まり、一樹さんの話に耳を傾けた。
よく聞いてみれば、それは3年も前の、歯科医院の忘年会の帰り道。
言ってみれば、酒の席での出来事でした。
たまたま二人でタクシー待ちをしていた時の話で、酔っぱらった松浦さんの冗談だと思ったそうです。
確かに、離婚して3ヶ月もたたない女性の、酒の席での言葉を真に受ける男性は居ないでしょう。
『結婚はこりごり』と断る一樹さんに対して、松浦さんは「今すぐじゃなくていい。先生が40歳まで独身だったら、私と結婚して」と迫ったそうです。
この後、二人がどうなったのかは分かりません。
一樹さんの話を信じるなら、同じタクシーで松浦さんを送った後、帰宅した。
つまり、何もなかったそうです。
そしてその後は、今まで通り経営者と従業員の関係で、一樹さんは、そんなことがあったことすら忘れていていた。
そして救急車が来た夜、その話を蒸し返されて、おぼろげに思い出したそうです。
それであの夜、一樹さんがなかなか現れなかった理由が分かりました。
松浦さんの気持ち
一樹さんは、全くその気はなかったようですが、松浦さんはどうだったのでしょう?
定期的に一樹さんに手料理を届けていたことを考えると、わずかな期待を持っていたのかもしれません。
あるいは、私が現れたことで、やけぼっくいに火が付いたのかもしれません。
「毎年、秋祭りの日に手料理を持ってきてくれたの?」
『イベントごとに持ってきてくれて、他の従業員の子たちもそれは知っていたよ』
「手料理を受け取っていたの?」
『うん。でも、まおさんとお付き合いするようになって断ったんだよ』
「それでも今日持って来たんだね」
『最後のつもりだったと思うけど』
そうか、最後の賭けのつもりで、あんな胸のはだけた服で訪ねて来たのか。。。
「ファンーデーションはどうして付いたの?」
『あれは、たまたまぶつかって』
「ぶつかって付いた位置じゃないよね?」
『まおさん、誤解だよ』
「抱き付かれた?」
『ちょっとだよ。ほんの一瞬』
「松浦さんの自宅に上がったの?」
『玄関先だよ。通路で話すわけにいかないだろ?』
「ひとり暮らしの女性の自宅に入るなんて、おかしいよ!」
『もう勘弁してよ』
何が『ちょっと抱き付かれた』だよ。
「ちょっと」も「沢山」も一緒だよ。
隙を見せるから抱き付かれるんだ。
一樹さんにも、松浦さんにも、
そして自分にもイライラした。
そして倒れた
他にも細かい話を聞いた。
でも、なかなか私の怒りが収まらないので、一樹さんはいたたまれなくなったのか「ホットミルクを入れてあげる」と言って席を立った。
時刻は24時を回っていた。
私は今朝3時起床だったので、心身共に疲労がピークだった。
きっと一樹さんだって疲れているはずだ。
そろそろ仲直りして話を終わらせなくちゃ。
喧嘩したまま1日を終りにしてはいけない。
そう思って「私も手伝うよ」と言って立ち上がったとたん、私は動悸と目まいで、その場に崩れるように倒れ込んでしまったのです。
はじめまして!まおさん・・・
恐らく松浦さんと一樹さんは、一般的に言われる「交際」をしているのではないかと思います。
第三者としてブログを読んでいると、松浦さんが仕事も彼も失ってどんなつらい気持ちでいるかと考えてしまいます。
私がまおさんであれば、次の相手を探すでしょうね。
みかんさん、コメントありがとうございます。
みかんさんは、とても優し方ですね。
松浦さんが、私の職場に姿を見せるような事さえしないでいてくれたら、もっと別の解決方法があったのにと思います。
一樹さんとはもう少し交際を続けてみようと思っています。
応援して頂けたら嬉しいです。
初めまして。
いつも読ませて頂いています。
私も、松浦さんとその男性は一般的な交際をしていたと思います。
そもそもですが、まおさんはその男性にはっきり交際を申し込まれたのでしょうか。寝室が別なことに関しても、その男性は自分からは誘わず、責任を取りたくないような印象を受けました。
また、色んな女性と連絡を取っているのを見るところ、浮気性な人のような気もします。まおさんは本当にそれでいいのでしょうか。まおさんには傷付かず、幸せな恋愛をしてもらいたいです。
meiさん、初めまして。
ご心配頂いてありがとうございます。
松浦さんとは、何かあったかもしれないし、無かったかもしれないと思っています。
また「人当たりもよく社交的で独身」の一樹さんなので、異性の友人も多いようです。
正直、心中穏やかではありませんが、信じるしかないかなと思っています。
初めてのデートで「毎週木曜日は僕の為に空けておいて」と言われ、お付き合いが始まりました。
まだ交際して日も浅いので、もう少しお互いを知る時間を作りたいと思います。
冷静に見極めますね^^
信じるのは確かに大事だと思います。
ですが、はっきり付き合おうという言葉ではないということに関しては、少し心配です。
まおさんが結婚を考えていらっしゃるなら、その前提での交際なのか一度聞いてみたらいかがでしょうか。
余計なことを言って、すみません。
meiさん、お返事ありがとうございます。
普段の会話の中で、なんとなく「結婚」という言葉は出ているのですが、はっきり言ってもらったことはありません。
タイミングを見て聞いてみたいと思います。
気にかけて頂いて嬉しいです^^