一樹さんの育った家庭
まおです。
一樹さんのご実家を初めて訪ねた時から
なんとな~く分かってはいたよ。
育ちの良い人だなって。
まぁ、わかりやすく言えば「お坊ちゃん」だなって。
ぶっちゃけてしまえば、初めて婚活パーティーで会った時から、品の良い男性だと思っていた。
余裕があったよね。
金銭的余裕という意味ではない。
(もちろん金銭的余裕もあっただろう)
男性も女性も「婚活」でギラギラ&ガツガツしている中で、どこか涼しい目をしていた。
ただそこに立っているだけで、育ちの良さが分かってしまうと言うのかな?
ひと言、言葉を交わしただけで、他の男性と何か違うと感じ取れた。
立ち居振る舞いの、全てに余裕があった。
「いかに自分を良く見せるか」しか考えていない婚活集団の中で、飾らない一樹さんは新鮮だった。
お手伝いさん
聞けば、物心ついた頃から、常に自宅にはお手伝いさんがいたらしい。
そして、小学校の中学年頃までは、どこの家にもお手伝いさんがいると思っていたと言うから、筋金入りのお坊ちゃんだ。
亡くなられたお父様は、自宅に仕事関係のお客様を連れてくることが多く、毎日、必ず誰かが訪ねてきていたという。
そのお客様のおもてなしを、お義母様とお手伝いさんがしていたらしい。
あのご実家の広さを考えれば、掃除機掛けだけでも半日掛かってしまうだろう。
広大な敷地の庭の手入れは、今も庭師さんが行っている。
こんな一樹さんの常識に、私の常識が追いついていかない。
『まおさんの実家だって、お手伝いさんがいらっしゃったよね?』
って、そりゃ誤解だす。
我が家は、父の会社の経理を母が手伝っているので、毎日忙しい。
日々おろそかにしている家事を、月に2回、家事代行サービスを使っているだけだ。
水回りや、猫の額ほどの庭を、プロの技で綺麗にしてもらっているだけ。
そう、ダスキンさんだ。
決して「お手伝いさん」などではない。
身内
ひとつ救われるのは、一樹さんの中で、お手伝いさんは「お手伝いさんじゃなくて身内」らしい。
一生懸命に家の中の仕事をしてくれて、他人ではなく身内と一緒の感覚だという。
そう言われれば、お義母様とお手伝いの鈴木さん・山田さんは、一緒のテーブルで、一緒の食事を、一緒にとっていた。
なるほど!
そんな心の通った関係なのか!
・・・って、簡単には理解できない。
どんなに考えても、私の周りでお手伝いさんのいるご家庭はない。
テレビドラマで見るくらいだ。
それくらい縁のない世界だ。
こんなことを言っては申し訳ないけれど、全くの他人を、家の中に入れることに抵抗がある。
それに、今の我が家に、お手伝いさんは必要なのか?
『外出に付き合ってもらったり、話し相手になってもらえば良い』
そう言う一樹さんに、心の中で叫んだよ。
「お金払って話し相手になってもらうって、勿体なくね?それに私、そんな淋しい女と思われてるのかね?」
私と一樹さんの常識は違う。