今日は誘わないから
まおです。
ダイソン騒動が一段落付くと、私たちは、大きなソファーにこの日も初々しい距離を保ちながら座った。
先週の、悲しい夜の記憶がよみがえる。
思い出すと、非常に居心地が悪い。
すぐそばにあるテレビのリモコンを、抹殺したい気分だ。
そんな私の思いを知ってか知らずか、一樹さんが『まおさん、安心して。今日は誘わないから』だって。
残念。
誘ってくれないんだ。
大切な話
私は一樹さんに、先日、母から言われたことを話した。
大切な合鍵を貰ったこと。
車で送ってもらう一樹さんの負担のこと。
一樹さんは恐縮していた。
そして、二人でよく話し合った。
合鍵は、一樹さんの気持ちとして渡してくれたこと。
私のことを信用して渡してくれたけれど、歯科医院への出入りは出来ないし、カルテ・薬剤棚には触れないし、重要な書類やお金は金庫で管理している。
むしろそうすることで、私に安心して合鍵を持っていてもらえると考えたと。
そして帰宅時の送迎については、私を新幹線で帰すことは考えていない。
(駅から自宅までのバスが19時が最終なので、夜道を自転車で帰ることになる)
だから、もう少し早く帰宅出来るように工夫しようということになった。
とっても前向きな話し合いだった。
仕事の収入の話
話し合いは、これだけにとどまらなかった。
私のブライダルの仕事を、続けるか続けないかに及んだ。
正直、すぱっと辞める決心はつかない。
だって、この夏、
商業登記(株式会社)したばかりだ。
『何で、そんな大事なこと相談してくれないの?』
「一樹さんと出会う前だったから💦」
『バリバリ仕事するつもりだった?』
「最悪、仕事と結婚するつもりだった」
『ブライダルを辞めるとどうなる?』
「収入が9割以上減って倒産するかもよぉ。へへっ(笑)」
まぁ「倒産するかもよぉ」は大げさだけど、株式会社にした意味がないな。
ブライダルの仕事は、いやらしい話、単価が高い。
事務所に所属すると、事務所が50%持って行っちゃうけど、私は式場と直に契約を結んでいる。
一方、ラジオの仕事は単価が低い上に、事務所経由だ。
ここだけの話、交通費や取材費は自腹だ。
まお株式会社の収入割合は
ブライダル 90%
イベントMC 5%
ラジオ 5% だ。
一樹さんは、結構、難しい顔をして考え込んでいた。
そしてこう言った。
『こんなこと言っては失礼かもしれないけど、まおさんの収入が9割減っても、僕が食べさせてあげられる』
それは十分承知している。
そして、そういう問題では無いことも、
二人とも十二分に承知している。
この日も結論は出なかった。
ふと思った。
順調に交際している(と思っている)私たちに、ほころびが生じるとしたら、私の仕事の取り組み方の問題だろうと。
一樹さんの希望に寄り添いたい気持ちと
仕事を続けたいという気持ちが喧嘩する。