前夜の話


まおです。

一樹さんのご親戚の方のご自宅に伺う前夜、一樹さんと話をした。
 

「どんな風に話をすすめるの?」

『まずは、披露宴に列席して貰ったお礼から伝えるよ。』

「次は?」

『次?う~ん、そうだねぇ、世間話から入って、様子を見ながら本題に入るよ。』

「喧嘩になったり、言い合いになったりしないよね?」

『大丈夫だよ。喧嘩しに行くわけじゃない。』

「伯父様と警察の件は話すの?」

『聞かれれば説明するよ。でも、新婚旅行のお土産を受け取って貰えたら、後は、会社でまおさんのことを宜しくお願いしますって言って、終わりにするつもりだよ。』
 

とにかく喧嘩腰に出るのではなく、穏やかに納めようと話し合った。

しかし結局、お会いすることすら出来なかった。
 

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肩を落とす一樹さん

お義母様からの電話の後、一樹さんはダイニングのテーブルに座ってうなだれていた。

両手をテーブルの上にのせ、両手の指を組んだまま、目をつぶってうつむいたまま動かなかった。
 

私は、テーブルを挟んで向かいに座ったまま、黙って一樹さんの様子を見ていた。

掛ける言葉もないとは、このことだと思った。

私もショックだったけれど、一樹さんは、もっとショックを受けたのかもしれない。

冠婚葬祭くらいでしか顔を合わせないご親戚だったらしいが、それでも一樹さんの心中を察するに余りある。
 

私からすれば、一樹さんのご親族は、所詮は姻族。

短い期間で付き合いもない。
 

でも、一樹さんにとっては、生まれてからずっと親戚関係を続けてきた関係だ。

なんとか良好な関係を保ちたかっただろう。

一樹さん自身の為に。

そして恐らく私の為にも。
 

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『ごめんね、まおさん。』

どのくらいたっただろう。

一樹さんが、ぽつんと言った。
 

「一樹さんが謝ることないよ。一樹さんのせいじゃないもん。」

何とも当たり障りのないセリフだ。

もっと励ますなり、慰めるなり出来れば良いのだが、言葉が見つからない。

そのまま再び二人して沈黙してしまった。
 

どんなに頑張っても、どんなに考えても、どうにもならないこと、解決しないことがあるんだと思った。

人生も結婚生活も、絵に描いたようにはいかない。

頑張っても頑張っても会う機会すら与えられず、考えても考えても解決の糸口すら見つからない。
 

八方塞がりって言うのかもしれない。

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