テレビのリモコン
まおです。
昨日のお話の続きです。
大きなソファーに初々しい距離を保ちながら座り、甘くてフレッシュなシャインマスカットをほおばった私たち。
二人とも話し疲れて、しばしの静寂が流れた。
一樹さんは優しいし、手作りチキンカレーもとても美味しかったし、幸せだなぁ~。
次は私が何か作らなくちゃいけない。
何が良いかな?ハードル高いなぁ。
料理メニューを脳みそフル回転で考えていると、一樹さんがポツリと言った。
『まおさん、いいかな?』
テレビのリモコンが、私の方にあって、手が届かなかったらしい。
私はすぐにリモコンを取って、一樹さんに渡した。
しかし一樹さんは、リモコンを見つめたまま無言だ。
しまった!
何て気の利かない女だろう。
どうしてテレビを付けてあげることすら出来ないのだろう。
私は「ごめんね」と謝りながら、リモコンを取って、すぐにスイッチを押した。
「何か見たい番組ある?」
そう尋ねると、一樹さんは
『別に・・・』と言う。
うわっ。
ご機嫌を損ねちゃったかな?
肩を震わせる一樹さん
私は急いでチャンネルを変えて、一樹さんの好きそうな番組を探そうとした。
しかし時刻は19時少し前。
どのチャンネルも番組の切り替わる時間で、何を見るか決められない。
この間も、一樹さんは無言だ。
困った。。。どうしよう。
そうだ!番組一覧があるはずだ。
でも、初めて触るリモコンの、どこを押せば番組一覧が出てくるか分からない。
自称白物家電女子の私だけれど、黒物家電は苦手だった。
仕方なく一樹さんに「ねぇ、番組一覧ってどこを押せばいい?」と尋ねた。
一樹さんは無言だ。
恐る恐る一樹さんの顔を覗き込むと、下を向いてしまった。
気のせいか、一樹さんの肩が震えている。
そんなに怒ってるのぉ?
いたたまれなくなって、私も無言で固まってしまった。
すると・・・
『ぐっ、ぐふっ、
ぐはははっ!』
突然、一樹さんが笑い出した。
わざと?それとも天然?
なっ、なっ、なに?どうしたの?
一樹さんはソファーに座って、ロダンの「考える人」の姿勢で全身を震わせながら笑っている。
「何が可笑しいの?」
そう尋ねた瞬間に気付いた。
そーゆー意味か!
=== 解説 ===
問題「まおさん、いいかな?」
誤 「まおさん、
テレビつけてもらってもいいかな?」
正 「まおさん、キスしてもいいかな?」
ということらしい。
やってもうた。
一樹さんは『まおさん、それってわざと?』と言いながら涙を流して笑ってる。
私は、無言でうなだれるしかなかった。
そしてこの話には、更なるオチがある。