合鍵♥
まおです。
映画を観た後は、真っすぐ一樹さんの自宅へ向かいました。
『まおさん、ちゃんと合鍵持ってきた?』
と一樹さんが心配そうに聞くので、
バックから取り出して見せた。
それを見た一樹さんは、とても嬉しそう。
そんな一樹さんの様子を見た私は、もっと嬉しかった。
38歳と31歳の中年男女が、合鍵ひとつで胸トキメク♥なんて、恋愛って素敵だなって思う^^
一樹さんの自宅に着いて、早速、合鍵を使って私が鍵を開けた。
1階が歯科医院、2階が自宅になっているので、セコムの解除の仕方も教えてもらった。
何もない自宅
玄関を入って、左側が歯科医院へ続くドア。
正面の階段が2階の自宅へ続いている。
少し急な階段を、一樹さんの後に続いて、ドキドキしながらのぼります。
『どうぞ』と声を掛けられたので「お邪魔します」と中へ入ると、広いリビングでした。
白で統一された25畳ほどのLDKです。
手前に、ソファーと大型TV。
奥に対面キッチンとダイニングテーブルがありました。
男の一人暮らし➡散らかった部屋
そんなイメージでしたので、あまりにも綺麗に片付けられたリビングに、かなり驚きました。
「片付けられた」と言うよりは「何もない」リビング。
生活感の無いそれは、良く言えばモデルハウスに来ているような感じでした。
「前に、散らかってるって言ったから、覚悟してきたんだけど、すごく綺麗だね^^」
『うん、ダスキンさんに頼んで、綺麗にしてもらったよ』
確かに「医院のお掃除をしてもらっている業者に頼んで、綺麗にしてもらう」と話していた一樹さん。
殺風景なほどに片付いている。
『過去は全部捨てた』
そう言って笑った一樹さん。
ここは一緒に笑うところか?
判断に困ったので、スルーした。
他には寝室と、開かずの間という洋室があった。
嫉妬と妄想
一通り間取りを案内してもらい、ソファーに座ると、一樹さんがコーヒーを淹れてくれるという。
せっかくなので、コーヒーメーカーの使い方を教えてもらいながら、一緒に淹れることにした。
『二人分ならお水はこの目盛りだよ』
「ん?どの目盛り?」
『ここだよ』
「どこかな?」
二人で顔を寄せ合い、コーヒーメーカーの目盛りを確認しようとしたら
ゴツン
お互いの頭と頭がぶつかった。
二人して『星が出た★』
そう言って頭を抱えながら大笑いした。
その瞬間、ふと思った。
一樹さんは、元奥様とも一緒にキッチンに立って、こうして笑ったのかな?
見渡せば、カップボードには男性の一人暮らしには似合わない、コーヒーカップが5客セットで並んでいる。
食器も一通り揃っていて、結婚した時に揃えたのかなと思えた。
カーテンは誰の趣味だろう。
もっとゲスな話をすれば、寝室のベットはいつから使っているのだろう。
一樹さんが離婚したのは6年も前。
今、そんなことを気にするのは馬鹿らしいと思うのだが、女心は複雑だ。
嫉妬とは少し違う。
妄想と表現する方が近いかな?
胸がザワザワするこの気持ちを、
どう説明していいか分からない。
ふと思った。
それだけ一樹さんの事を好きになったんだ。
でも、最高にくだらなくて、
最高に情けない。。。