お留守番と言われて
まおです。
一樹さんは、叔父様に結婚式の招待状を出すかどうか、お母様に相談に行くと言う。
しかし、私は留守番?
「何で一緒に行っちゃダメなの?」
『まおさんに聞かせたくない話もあるから』
叔父様の件は、最終的には弁護士さん同士の話し合いで決着が付いた(らしい)。
しかし私は詳しいいきさつを知らない。
どうして叔父様が辞任&退社することになったか、説明は受けていない。
辞任&退社したという、事実だけを知らされた。
恐らく私の耳に入れたくないことも、沢山あったのだろう。
私もあえて尋ねたりはしなかった。
体調は良い
一樹さんは『まおさんに余計な心配を掛けたくない』と言った。
『退院してから今日まで、体調も良さそうだ。
僕が見る限り、顔色も良いし、気持ちも安定しているように感じる。
食事も摂れるようになってきて、今が回復に向けて一番大事な時期だと思う。
何も心配しないで、結婚式の日を指折り数えて過ごして欲しい。』
そこまで言われると、従わざるを得ない。
ひとりで出掛ける一樹さんを、玄関先まで見送った。
ひとりで考えた
一樹さんが居ないと、リビングはとても静かだ。
一樹さんが言った『まおさんに余計な心配を掛けたくない』と言う言葉が、やけに耳に残った。
私の知らないところで、一樹さんは色々背負ってくれていたのかな?
私に話したいことや、相談したいことがあったのかもしれない。
でも、メンタルを病んで入院していた私に心配を掛けまいと、ひとりで抱えてくれていたのかもしれない。
一樹さんと一緒に寝起きするようになって2週間近く。
私が想像していた以上に、仕事は忙しそうだ。
朝から晩まで、患者さんが途切れることがない。
診療が終わってからも事務仕事をこなし、毎晩、クタクタになって帰って来る。
私が入院していた時は、仕事が終わってから大急ぎでお見舞いに来てくれていた。
どんなに大変だっただろう。
私が逆の立場だったら、同じ様に出来ただろうか?
感謝という言葉だけでは足りない。
叔父様の件は、もう本当に終わりにしたい。
私と一樹さんの未来から、叔父様の存在を消したい。