後悔しかない
まおです。
昨日のブログには書かなかった事がある。
一樹さんに向かって
「だから嫌だって言ったじゃない!」
そう自分の胸の内をぶつけた後、
私は一樹さんの腕を振り払ってしまった。
私が泣くときは、いつも一樹さんが背中をさすってくれる。
昨夜も、自分の考えとは裏腹に、叔父様の件がぶり返されたことが悲しくて、病室のベッドの上で、テーブルに突っ伏して泣いた。
するといつもの様に、一樹さんが背中をさすろうと腕を伸ばしてきた。
その腕を、私は、思いっきり振り払ってしまったのだ。
薬指の婚約指輪
一樹さんは驚いたに違いない。
テーブルに突っ伏していた私は、一樹さんの表情が見えなかった。
でも一瞬、一樹さんの動きが止まったのが分かった。
私は泣き顔を見られるのが嫌で、テーブルから顔を上げることが出来なかった。
どの位の時間、泣いていただろうか。
一樹さんが近づいてくる気配を感じた。
すると次の瞬間、スッと私の左手を握った。
私の手を包むように、一樹さんの温かい手が触れた。
暫くすると、私の薬指の婚約指輪があるのを確かめるように、愛おしそうに手を握ってくれた。
一樹さんが『ごめんね』そう言ってくれているのだと思った。
なのに私は顔も上げられず、一言も喋らなかった。
何事も無かったかのように
今夜も仕事終わりに、一樹さんがお見舞いに来てくれた。
いつもの様に『まおさん、具合どう?』
そう言いながら、栗蒸し羊羹を私の目の前に差し出した。
『新栗だから、きっと美味しいよぉ^^』
と、満面の笑みで羊羹を切り分け始めた。
叔父様の話になったら、昨夜、一樹さんの腕を振り払ってしまったことを謝ろう。
そう思っていたけれど、叔父様の話は一切出なかった。
結局、謝るタイミングを逃してしまった。
一樹さんが自宅に着いた頃を見計らって、LINEを入れた。
「昨日は、ごめんね」
すると・・・
『馬鹿だなぁ。そんなこと気にしてたの?元気がないから、具合でも悪いのかと心配しちゃったよ。』
優しい一樹さん。
本当は、私が謝りたくても謝れないことを分かっていたでしょ?
だけど、気付かないふりをしてくれたんだよね。
そして私が謝らなくても良いように、叔父様の件には触れなかったんでしょ?
本当に、一樹さんには敵わない。