心当たりがない
まおです。
森山と名乗る男性からの電話を切ると
私はすぐに式場に連絡を入れました。
森山は「業務の鈴木さんの紹介」と言っていました。
でも、式場に業務と呼ばれる部署はありません。
私がお仕事をさせて頂く鈴木さんは3名。
お一人ずつ直接確認したかったのですが、
平日だったので、誰とも連絡が付かず。
また、宴席担当以外のさまざまな部署、
例えば、総務部や写真部や衣装部など
複数の部署の数百名のスタッフの中に
何人鈴木さんが居るのか見当も付きません。
どの部署の鈴木さんが、森山と言う男性に
私のスマホの番号を教えたのかは、
結局、分かりませんでした。
頻繁に掛かって来る電話
ただ本当に式場の鈴木さんからの紹介なら
このまま放っておくことも出来ません。
翌日、こちらから森山に電話をし、
詳しい仕事の内容を確認しました。
その時も、森山はとても感じの良い応対でした。
ただ、気になることが幾つかありました。
仕事の内容が曖昧でした。
「詳しくはお会いした時に説明したい」
そう言われれば、それ以上聞けません。
しかし予算は相場の2倍ほど。
私は沢山のスタッフを抱え始めた時期で
会社としても仕事の幅を広めたいと考え
お会いすることにしました。
結婚式場で待ち合わせ
正体不明と言っては失礼ですが、
初めての取引、それも男性。
そして電話で感じた違和感。
待ち合わせは3日後。
17時に式場のロビーにしました。
森山からは別の場所を指定されましたが
色々と理由を付けて式場にして貰いました。
式場なら沢山のスタッフの目がある。
何かあった時に助けてもらえると思いました。
打合せ当日、式場で待っていると
約束の時間の10分前にスマホが鳴りました。
「前の仕事が長引いている。
19時にJRの駅で待ち合わせしたい」
前の仕事が時間通りに終わらないのは
仕方ないことだと思いました。
しかし、待ち合わせがJRの駅?
こういう時は、大抵はオフィスでしょう。
相手側のオフィスか、間に入った広告代理店やプロダクションの事務所。
しかし今回は、代理店を通さない直接取引。
それにしても駅で待ち合わせって?
言葉に表せない違和感と、嫌な予感がしました。