明日、退院します。
まおです。
明日、退院することになりました。
しかし突発性難聴が治ったのではなく、
もう治療することがないからです。
聴力は数字では50%回復したのですが、お寺の鐘の中で話をしているような閉塞感や、音の聞こえてくる方向が認識できないのは治っていません。
自分の足音や寝息が頭に響いたり、
電話応対等、日常生活が不便になりました。
後は、様子を見ながら少しずつ回復するのを待つしかなさそうです。
責任を感じると言う一樹さん
今日も一樹さんはお見舞いに来てくれました。
高速を使って往復3時間。
感謝としか言いようがありません。
入院中、仕事に出掛けたので、一樹さんからは『無理し過ぎだ』と随分叱られました。
でも、一度として、あの時の喧嘩の話にはなりませんでした。
普通なら『僕の言った通りでしょ。仕事を引き受けすぎだよ』と蒸し返したりするのでしょうが、一切、そんなことは言いませんでした。
どうやら一樹さんは、私の忙しい時期にオーベルジュに誘った事や、松浦さんの一件が、私に負担になったと考えたらしいのです。
突発性難聴の原因として、ストレスや疲れが挙げられていますが、未だ原因不明の病気です。
確かに、オーベルジュに出掛けた週末に松浦さんの件があり、日曜日に具合が悪くなって月曜日に入院となりました。
でも、それはたまたまそのタイミングだっただけで、一樹さんの責任ではありません。
私は、オーベルジュはとても楽しみにしていたし、実際に夢の様な時間だったこと。
負担になるどころか、そんな楽しい時間があったから、仕事も頑張れたこと。
松浦さんの件は、松浦さんがしたことであって、一樹さんには責任が無いこと。
何より、一樹さんのことを信じていること。
そして、一樹さんの言った通り、仕事を詰め過ぎた自分の責任だと話しました。
珍しく私が一気に喋ったので、一樹さんは目を丸くして聞いていました。
最後に一樹さんが『ありがとう』と言ってくれたので、伝わったかなと思います。
明さんは?
今日も半日、私に付き添ってくれていた一樹さん。
外が暗くなってきたころ、こう呟きました。
『今日は、明さんは見えないのかな?』
「来ないと思うよ」
『どうして』
「お断わりしたから」
『お見舞いを?』
「うん」
『どうして断ったの?』
「お食事に誘われたから。そのつもりがないから、お見舞いもお断わりしたの」
『とても良い人だよね』
「そうだね」
『日曜日のお礼は言えた?』
「うん。ちゃんと伝えたよ。明さんは、一樹さんのことを良い人だねって言ってた」
『そうか^^』
若干、事実と異なる説明だけど、誤解は解けたと思う。
一樹さんの帰り際、ちゃんとお礼を言わないといけないと思い、呼び止めて
『いろいろ心配かけてごめんね。
遠いのにお見舞いに来てくれてありがとう』
そう伝えると、
「体調が良くなったら、沢山デートしよう。
まおさんを連れて行きたい所が一杯あるんだ」
そう言って帰って行った一樹さん。
一樹さんと、一緒になれたら良いな。
そう思った瞬間でした。