温泉旅館の夜も更けて
まおです。
お風呂上りに、一樹さんとお部屋の広縁で涼んだ。
かぼすジュースが口当たりが良くて美味しい。
『沢山食べられるようになって、少し安心したよ』
そう言ってくれた一樹さんに
「かぼすジュース、もう1杯飲めそう」
そう伝えたら
『どうぞ!どうぞ!』
と、自分の分を差し出してくれた^^
冗談だったんだけど、一樹さんの喜ぶ顔が見たくて、頑張って一樹さんの分も飲み干した。
お腹が水分でたぷたぷになったよ。
入籍までカウントダウン
広縁で風に当たりながら、一樹さんに尋ねた。
「(結婚相手が)私で本当にいい?」
『あー、またそんなこと言いだすの?』
「だって、いつ退院出来るか分からないよ?」
『心配しなくても、いつか退院出来るから大丈夫だよ』
「でも、もう7月も後半だし、あっという間に夏が過ぎて9月になっちゃう」
『別にいいんじゃない?』
「入籍を先に延ばすってこと?」
『延ばさないよ。予定通り9月だよ』
「入院中に入籍するの?」
『そう』
「まるで獄中結婚だね(-_-)」
『・・・・・』
花嫁が入院中に入籍って、ドラマなら盛り上がるだろうけど。。。
実際に、自分のこととなると嫌だよ。
思い描いていた結婚と、全然違うもん。
ブレない気持ち
一樹さんは、9月に入籍すると決めているみたい。
そんな芯の通った、決断力のあるところにも魅かれた。
でも、まだ、はっきりと父の許可が出たわけではない。
それでも、9月までには許可を貰えるようにしたいと言ってくれる。
「一樹さんって、全然ブレないんだね」
『まおさんは、ブレブレだけどね』
「そうなの。決められないの。でも、一樹さんに対する気持ちはブレないよ(#^.^#)」
『それを聞いて安心したよ(^_^)』
当たり前だけど、もう、一樹さん以外の人は考えられない。
好きとか嫌いとか、尊敬出来るとか出来ないとか、そんな感情を飛び越えてしまった気がする。
一樹さんが居なくなったら、息も吸えないんじゃないかと感じる。
「好き」の上を表現する言葉って何だろう?
「信頼」かな?
一樹さんのことが好きだし、信頼している。
私は一樹さんにお礼を言った。
「温泉に連れて来てくれてありがとう」
だけどこの時、後に、悲しい知らせを受け取ることになるとは、予想できなかった。
どうしてこの時、微熱なんか出ちゃったんだろう。
どうしてこのタイミングだったんだろう。
今は、涙が止まらない。