自分勝手
まおです。
今、こうしてブログを書きながら考えれば、あの時、一樹さんが『大浴場は止めよう』と言った理由がよく分かる。
でも、あの時の私は、食事も少しだけど摂れるようになり、A病院も一人で受診出来た。
診察の結果も悪くなくて、解き放たれた気持ちだった。
普通のことが普通に出来るという自信に満ち溢れていた。
「気を付けて入浴するから良いでしょ?」
『だから、そう言う問題じゃないって言ってるでしょ』
そんな押し問答を、しばらく続けていた。
そして私は禁断の一言を言ってしまった。
「大浴場に入れないなら、温泉に来る意味ないじゃん。来なきゃよかった!」
温泉で癒されて
一樹さんは、こう言った。
『それでもまおさんを、温泉に連れて来てあげたかった』
私は我に返った。
退院したら温泉に連れて行って欲しい。
そう言ったのは私だ。
でも、想定外に入院が長引いた。
そこに急に降って湧いた、A病院受診という外出のチャンス。
急いで温泉旅館を探し予約を入れてくれた一樹さん。
体調が悪く大浴場へ行けないことを考えて、露天風呂付きの部屋を押さえてくれた。
そこまでしてくれているのに、そんな一樹さんの気持ちも考えず、自分のワガママを通そうとした。
「ごめんなさい」
『まおさんの苛立つ気持ちも分かるからいいよ』
「よくないよ。ちゃんと謝る。本当にごめんなさい」
『分かったよ。もういいよ』
「檜の内風呂も素敵だから、食事が終わったら、のんびり浸かるね」
『そうだね。一緒に入ろう!』
「一緒に入るかどうかは分かんない」
『あぁ、そう・・・(-_-;)』
お宿の会席料理
一樹さんと仲直りした直後に、仲居さんが夕食の準備にやって来た。
お部屋での夕食は、他のお客さんを気にせずに、のんびり出来るから好きだ。
夕食のお献立表を見ると、季節の食材をふんだんに使ったメニューが並んでいる。
ふと「お粥」と書いてあるのを見つけた。
一樹さんがリクエストしてくれたらしい。
『事情は話してあるから、食べられるものを少しずつ箸を付ければいいよ。
残しちゃいけないとか、気にしなくていいから。』
そう言って貰えるのは、すごく有難かった。
普段は残さずに頂くのが信条だけど、さすがに今は辛い。
一樹さんは、冷酒を頂きながら。
私は、烏龍茶をチビチビやりながら^^
先付・前菜・椀物・・・と、順番にお料理を楽しむ。
どれもとっても美味しくて、箸が止まらない。
一樹さんが『そんなに沢山食べて胃がビックリしない?』と心配していた。
出されたお料理の半分も食べられなかったけれど、これまでの食事量を考えると、信じられないくらい沢山食べられた(^-^)
念の為に、きゅうりのキューちゃんも持参したけれど、出番はなかった(笑)