ざ・温泉旅行
まおです。
一樹さんの仕事が終わったのは19時。
大急ぎで階段を駆け上がって来る足音が聞こえたかと思ったら、ものすごい勢いで自宅のリビングのドアを開けて入って来た。
『まおさん、お待たせっ!』
気持ちは嬉しいけど、驚いたから(´゚д゚`)
もうちょっと静かに帰ってきて欲しかったよ。
一樹さんは大急ぎで着替えを済ませると、自分の荷物と私の荷物を抱え、今度は、一気に階段を下りて行った。
だっ、大丈夫かな?コケないかな?
そんな私の心配は見事的中!
玄関で靴を履こうとして、つんのめってコケてた(・_・;)
「大丈夫?」と声を掛けようとして止めた。
見ていなかったことにしてあげよう。
それも優しさだよね?(^^;)
老舗旅館のお宿
車で移動中、一樹さんが今夜泊まる宿の説明をしてくれた。
車で30分程の所にある温泉地。
一樹さんも初めて行く温泉らしい。
地元で近すぎるあまり、今まで行った事が無かったんだって。
『地元では有名な温泉地で、部屋に半露天の檜風呂があるよ』
そう言われて、期待がどんどん高まっていった^^
お宿は森の中。
くねくね道を進んで行くと、いきなり景色が開け、歴史を感じさせるお宿があった。
想像以上に大きなお宿だったけれど、まだ夏休み前の平日で、お客様の姿もまばら。
ゆったり、のんびり過ごせそうな雰囲気だ。
お部屋は純和風な作り。
和室が2部屋と広縁、檜の半露天風呂。
床の間に飾られたお花が、もてなしの気持ちを表していた。
大浴場は。。。
到着したのが20時近かったので、先に夕食を食べることになった。
仲居さんが15分後に運んで下さると言うので、一樹さんと一緒に部屋で待った。
私は、その時間を利用して、大浴場に行く準備を始めた。
タオルと浴衣と化粧品を一つにまとめ、一樹さんの着替えも用意した。
すると、それを見ていた一樹さんが
『まおさん、何してるの?』と。
「大浴場に行く準備だよ!」
そんなの見れば分かるのに、変な質問するなと思っていたら、いきなりこう言われた。
『大浴場は、今回は止めておこう』
「はぁん?」
温泉に入りに来たのに、大浴場に行かないって、どーゆーこっちゃ???
すると一樹さんはこう言った。
『まおさん、今朝、熱があったでしょ?』
おぅ、誰だよ!チクッた奴は。
確かに、朝、入院先の病院で熱を測ったら7度3分あった。
看護師さんが主治医に確認してくれて、最終的に「外泊OK」になった。
でも、何で一樹さんが知ってんの?
『病院から連絡があったよ。体力も抵抗力も落ちてるだろうし、貧血もあるし、大浴場は止めてお部屋の露天風呂にしよう。こんな時の為に、露天風呂付の部屋を予約したんだ』
「え~っ、温泉に来て大浴場に行けないの?
熱って言っても微熱だよ。
体調も良いし、長湯もしないよ。
ちょっとだけだったら良いでしょ?」
『ダメ』
「5分お湯に浸かるだけ」
『時間の問題じゃないの』
「一樹さん、心配し過ぎ!」
『駄目と言ったらダメ』
「ケチ!(ー_ー)!!」
一樹さんに対して「ケチ!」なんて、今思えばとんでもないことを口走ってしまった。
だけど、大浴場で温泉に浸かるのを楽しみにしていたので、ショック過ぎたんだ(ノД`)・゜・。
いいな〜、個室露天風呂のお部屋。
高くて泊まったことないのでうらやましい(^^)
一樹さんとしては雑菌があるかもしれない大浴場は
避けたい気持ちもわかります。
あらかじめ温泉は個室にしておこうと提案があればよかったですね。