結婚式や新婚旅行の話
まおです。
久し振りの一樹さんの自宅。
二人でソファーでくつろぎながら、色々な話をした。
一樹さんは、まだ、出会って1年の記念日に入籍することを諦めていないと言った。
『まだ2ヶ月以上時間があるから、体調を整えて、まおさんのご両親にも認めてもらえるようにしよう』
そう言ってくれた。
結婚式もなるべく早く挙げて、新婚旅行は年末年始の休暇を利用して行けたら良いねと話し合った。
全ては、私の体調次第。
頑張って治さなくっちゃ。
そう思えた。
久し振りの手料理
晩ご飯は、私が作った。
もちろん一樹さんは、出前を取ってもいいし、スーパーの出来合いのものでもいいと言ってくれた。
でも、私が作ってあげたかった。
作ると言っても、大した料理は作れなかった。
焼肉とサラダとお味噌汁だけだ。
焼肉の味付けは焼肉のタレだし、サラダもカット野菜を利用した。
お味噌汁だって、豆腐と冷凍のほうれん草を使った簡単なもの。
それでも一樹さんは、喜んで食べてくれた。
『コンビニのお弁当も美味しいけれど、やっぱり家庭料理に勝るものはない』
そう言って、お代わりもしてくれた。
普通の恋人同士なら当たり前の風景だろう。
でも、今の一樹さんと私にとっては、とても貴重な時間。
外泊許可も取ってくれて、私の両親をも説得してくれた一樹さんに、心から感謝した。
涙
楽しい時間は、あっという間に過ぎてゆく。
そろそろベッドに入らなければ。
でも、眠ってしまったら、朝になってしまう。
朝になれば、転院先の病院に入院しなければならない。
入院なんかしたくない。
入院してたって、ちっとも良くならない。
もう病院なんか行きたくない。
でも私の為に、一生懸命、転院先を探してくれた一樹さんに、その病院に行きたくないとは言えない。
だから言葉を選んで、自分の気持ちを伝えた。
「ずっと、ここに居ちゃダメかなぁ?」
『えっ?』
「病院で薬だけ貰って、ここで過ごしちゃダメかなぁ?」
『・・・・・』
「ご飯も食べられるように頑張るから・・・」
『・・・・・』
一樹さんは、何も言ってくれない。
いたたまれなくって、私はおちゃらけて嘘泣きをした。
小さな子供がするように、両手で目をこすりながら「エ~ン、エェ~ン(T_T)ここに居たいよぉ~」と泣く真似をした。
最初は笑いながら泣き真似をしていたのに、いつしか本当に悲しくなって来て、ついにはダイニングテーブルに伏せって本気で泣いてしまった。
情緒不安定というか、感情のコントロールが出来ないというか。。。
自分自身が本当に嫌になる。
一樹さんは、何も言ってくれない。
さすがに、愛想を尽かされたと思った。
しばらく泣いて気持ちも収まり、ティッシュを取ろうと顔を上げた。
すると一樹さんが、真っ赤な目をして私を見ていた。