変わらない一樹さん
まおです。
入院生活も長くなり、病棟の主となりつつあった私。
手術をした患者さんでも、2週間以上入院される方って少ない。
私より後から入院した患者さんが、次々に退院していく姿を見るのは、ちょっぴり切ない。
もちろん私だけじゃなく、付き添う家族も大変だ。
私の実家から病院まで、車→電車→バスで片道1時間半かかる。
当初、実家の母は毎日通ってきてくれていたけれど、母も仕事を持つ身。
体調を崩したら大変なので、週2にして貰った。
その分、一樹さんに負担がいった。
毎晩、仕事終わりに顔を出してくれる。
疲れた顔一つ見せず、いつも笑顔だ。
基本的にお喋り
病室で晩御飯を食べ終わると、その日の出来事を話してくれる一樹さん。
時事ネタから、靴下に穴が開いたなんて、どーでもいい話まで幅広い。
基本的にお喋りで、裏表のない性格に魅かれた。
しかし、ここが病室であることを忘れ、大きな声でベラベラ喋るから注意した。
「もう面会時間おわってるから、もうちょっと小さな声でね(^^;)」
『ゴメン、ゴメン。まおさんの顔見ると嬉しくて、ついつい声が大きくなっちゃう』
そう言われるのも嬉しい。
一樹さんとの時間は、あっという間に過ぎていく。
この日、帰り際に『転院の日が決まったよ』と言われた。
そして、1泊だけだけれど、外泊の許可も出た!
退院した日の夜、一樹さんの自宅に泊まり、翌日、新しい病院に入院することになった。
娑婆の空気は上手い
退院した日、どこに泊まるのかは、少々揉めた。
両親にしてみれば、家(私の実家)に戻るのが当たり前だと思うだろう。
ただ、新しい病院と私の家は真逆の方向で、車で2時間の距離にあった。
また、どうしても一樹さんと一緒に過ごしたかったので、一樹さんが両親に話を付けてくれた。
両親と話をするのは、なかなか勇気が必要だったと思う。
結婚を反対している父に、私を自宅に泊める許可を得るなんて、エンマ様に会いに地獄に行くようなものだったと思う。
恐らく、一生懸命に頭を下げてくれたんだろうと思う。
お陰で転院のため退院した日、その足で一樹さんの自宅に戻ることが出来た。
この日仕事が休みで、迎えに来てくれた一樹さんと一緒に、病院の正面玄関を出た時、「娑婆の空気は美味い(^o^)」と口走ってしまった。
それを聞いた一樹さん『お務めご苦労様でした』だって(笑)