落ち込む一樹さん
まおです。
額縁が落ちたのは、
一樹さんのせいばかりではない。
ただ、私の肩に当たってしまったので
一樹さんは責任を感じて凹んでいた。
『まおさんに、
カッコ悪い所を見せちゃった。
外で頭を冷やしてくる』
そう言って、車の鍵を手にしました。
「私も一緒に行く!」
しかし一樹さんは、返事をしない。
もしかしたら、車で叔父様の自宅に向かうんじゃないか?
それだけが心配だった。
でも、私が外出の準備を始めるのを見て
『じゃぁ、少し外を歩こう』
そう言って玄関に下りて行った。
梅雨入り
この日は梅雨入りしていて、
朝から雨が降っていた。
一樹さんと、外に出ると。。。
まだ、霧雨の様な雨が降っていた。
それでも一樹さんは気にする様子もなく
どんどん歩いて行ってしまう。
私も急いで後を追いかけた。
常に、私の4~5m先を歩く一樹さん。
何も話さず黙々と歩いて行く。
私を無視しているわけではなさそう。
その証拠に、交差点では立ち止まって、
私が追い付くのを待っていてくれる。
でも、交差点を渡り切ると、
また一人で歩いて行ってしまう。
私は、遅れないように必死で付いて行った。
こんなことなら、一樹さんを一人にさせてあげれば良かったかな。。。
そう思った。
そんな感じで15分程歩いていると、
一樹さんが赤信号で立ち止まった。
追いつこうと小走りに近寄ると、
一樹さんが左手で合図を出したように見えた。
手を繋いで歩こうという合図だと思った。
私は、駆け寄って一樹さんの手を握った。
上目使いに一樹さんの顔を覗き込む。
すると。。。目を真ん丸くして驚いていた。
「えっ?何をそんなに驚いたの?」
『いや、まおさんがいきなり手を繋いできたから』
「だって一樹さん、手を繋ごうって合図してくれたから・・・」
『合図?』
「うん、合図」
『あ・・・そういうことか』
「えっ?違うの??」
どうやら一樹さんは無意識だったらしい。
私が勝手に勘違いしただけだった。
マジで恥ずかしいんだけど(/ω\)
繋いだ手と手
でも、せっかく繋いだ手を離すわけにはいかない。
雨が少しずつ強くなる中、
二人で手を繋ぎながら歩いた。
『そろそろ戻らないとヤバイかな?』
そう言っているうちに本降りになった。
寄り添って家路を急いだ。
途中からはダッシュに近かった。
息を切らしながら必死に走る私に、一樹さんたら『早く籍を入れたいね』だって。
「ゴメン、今、それどこじゃない。心臓止まりそう」
『そりゃ、大変だ^^』
そう言って笑った。
一樹さんの自宅に着いた時には、
二人ともずぶ濡れだった。
でも、一樹さんは笑顔だった。
気持ちが落ち着いた様でホッとした。
ただ、叔父様の問題は、
なかなか解決しなかった。