飛び散ったガラス
まおです。
私の肩に当たって落ちた額縁は、
床に叩きつけられ割れてしまいました。
私の小さな悲鳴とガラスが割れる音で
我に返った一樹さん。
『ゴメン!!まおさん大丈夫?
怪我しなかった?
どこに当たった?
どこ?見せて?
痛い?痛くない?
頭?肩?どこに当たった?』
それはもう大慌てだった。
「大丈夫だよ。肩にちょっと当たっただけだよ。一樹さん大げさすぎる(^^;)」
『ゴメン、本当にゴメンね・・・』
自己嫌悪だって
割れたガラス片を片付けようとしたら
『危ないから、僕がやるから』
そう言って、私を遠ざけた一樹さん。
でも、一樹さんこそ、ガラス片で指でも切ったら大変だ!
「私が片付けるから、一樹さんは離れてて」
『いや、僕がやる』
「私がやる」
『僕がやる』
で、結局、一緒に片付けた。
ガラスのかけらを拾いながら、一樹さんは言った。
『頭に血が上って、まおさんに怪我をさせちゃうなんてサイテーだ』
怪我なんてしてないし、
額縁が落ちたのは不可抗力。
そう説明したけれど、一樹さんは
相当落ち込んでしまった様子だった。
『こんなカッコ悪いとこ、
まおさんに見せたくなかった』
嬉しかったよ
正直、録音レコーダーを聞いた直後の
一樹さんの激高ぶりは怖かった。
どうしたらいいか分からなかった。
でも、それだけ私の事を思ってくれているのだと思った。
世間では、嫁と自分の実家のトラブルなんて面倒くさくて「上手くやってくれよ」なんて言うご主人も居るかもしれない。
あるいは「仕事で疲れてるんだ。そんな話聞きたくない」そう言うご主人も居るかもしれない。
でも一樹さんは、ちゃんと話を聞いてくれる。
そう考えると、とても嬉しかった。
この先、何かあっても、私の味方で居てくれるんじゃないかなと思った。
私は「叔父様に対して本気で怒ってくれて、嬉しかったよ」
そう伝えたけれど、一樹さんの返事は
『外で頭を冷やしてくる』だった。