みるみる顔色が変わる
まおです。
スマホの録音レコーダーを再生してすぐ、一樹さんの顔色がみるみる変わっていきました。
最初は信じられないという表情でしたが、すぐに顔が真っ赤になって。。。
この後、どうなっちゃうんだろう。
そう思うと、怖くて怖くて。
7分間の再生が終わると、一樹さんは
『これは何なんだ!!』と。
私に問いかけるというより、自分自身に問いかけているようでした。
『あいつ、どういうつもりだ!!』
『あいつ』と言うのは、叔父様のこと。
一樹さんが目上の人を『あいつ』なんて呼ぶことは絶対に無くて、この時が初めて。
そのくらい腹が立ったんだと思いました。
叔父に電話をする
一樹さんのあまりの激高振りに、なすすべもない私。
ただただ、一樹さんの気持ちが収まるのを待つしかありませんでした。
しかし、気持ちが収まるどころか、ますます興奮していって、ついには『叔父に電話を掛ける』と言いだしました。
こんなに興奮した状態で電話を掛けても、喧嘩になるだけで解決はしない。
絶対に電話など掛けさせてはいけないと思いました。
私は、テーブルの端にあった、一樹さんのスマホを取り上げました。
すると、リビングの固定電話で掛けようとするので、私は体を電話に覆い被せるようにして、全力で妨害しました。
『まおさん、邪魔しないで!』
そう言われても、私は電話機を抱えたまま離れませんでした。
「もう弁護士さんにお任せして!
間に代理人弁護士さんが入ったら
当事者同士は連絡を取り合えないの。
そう、書面でやり取りしてるの。
一樹さんだって知ってるでしょ?
A先生も後々しこりを残さないように
骨を折って下さっているのに、
今、電話で再び騒ぎになったら、
A先生も困っちゃうよ!」
一樹さんは、やり場のない怒りを
どうすることも出来なかったのでしょう。
電話を掛ける掛けないで、その場で揉み合い(ちょっと大げさだけど)になりました。
そして、一樹さんが受話器を取ろうと手を伸ばした時、壁に掛かっている額縁に腕が当たり、外れた額縁が運悪く私の肩に当たって、床に落ちて割れてしまいました。
「キャッ!」
私の声にならない悲鳴を聞いて、
一樹さんは我に返ったようでした。