また二股かけられたのかな?
まおです。
病室で点滴をしながら考えています。
誰も居ない病室で、真っ白な天井に向かってつぶやきます。
また二股掛けられちゃったかな?
順調な交際をしているつもりでした。
すぐ近くに、一樹さんとの未来がある。
そんな風に感じていました。
でも、全て私の錯覚だったのかもしれません。
空中楼閣
ふと、そんな言葉が頭に浮かびました。
土曜日の出来事
保坂ディレクターと来週の打ち合わせを終え、そろそろ帰ろうかと思っていた19時過ぎ。
スタッフから「中庭で女の人が待ってるよ」と知らされました。
ラジオ局はオープンスタジオで、リスナーさんが見学に見えます。
生放送後に、中庭でご挨拶をすることもあります。
しかし私の生放送が終了してから、すでに数時間。
こんな時間に何だろう?
リスナーさんとパーソナリティーが対面する場合、必ずディレクターが立ち会うのが決まりです。
「僕も行くよ」と、保坂ディレクターも同行して会いに行きました。
既に暗くて、女性の姿は見えません。
しばらく探していると、木の陰に40歳くらいの女性が立っているのが見えました。
近寄って「こんばんは」と声を掛けても、その女性は無言でした。
直感で、リスナーさんではないなと感じました。
私が「何かご用でしたか?」とたずねると、その女性は
『先日お会いしましたよね』
と強い口調で答えたのです。
その瞬間、一樹さんの歯科医院の歯科衛生士さんではないかと思いました。
救急車が来た夜、一樹さんの隣に居た、確か「松浦さん」でした。
(ただ、この時は確信は持てませんでした。顔をよく覚えていなかったので。)
そして続けて彼女は、こう言い放ちました。
『いい加減な気持ちなら、辞めてもらえませんか!』
あまりの勢いに身の危険を感じで2~3歩後ずさりすると、離れて見ていた保坂ディレクターが気付き、慌ててとんでくるのが分かりました。
「まおちゃん、どうしたの?大丈夫?」
保坂ディレクターが私の元に来た時には、女性は既に走って行ってしまいました。
「辞めてもらえませんか?」の意味するところ
突然の出来事に、手が震えました。
怖すぎて、その場から動けなくなってしまいました。
焦ったのは保坂ディレクターで「どうしたの?何をされたの?」を繰り返していました。
私は保坂ディレクターに、先にスタジオに戻っていて欲しいとお願いしたのですが、「まおちゃんを一人置いて戻れない。決まりだから。」とその場を離れようとはしませんでした。
しかし私はスタジオに戻りたくても戻れません。
涙が止まらなくなってしまったから。
それを見た保坂ディレクターは、一旦スタジオに戻り、自分の車の鍵を持ってきてくれました。
車の中で、私は女性から『辞めてもらえませんか』と言われたことを伝えました。
保坂ディレクターが「番組を辞めろという意味か?」と聞くので、私は『彼との交際を辞めろという意味だと思う』と話しました。