父の正論
まおです。
「今一度、結納の品を受け取って頂けないか?」
そうおっしゃって下さったお義母様の言葉に、私の心は大きく揺れました。
一方的に婚約を破棄したのに、
そんなことを言って下さるなんて。
正直、嬉しかったです。
しかし父は違いました。
「問題が解決していないのに(叔父様から謝罪がない)、どうしてそんな事が言えるのか?」
こんなストレートな物言いはしませんでしたが、大筋、そんな内容でした。
確かに、父の言うことは正しいのでしょう。
しかし、一樹さんとお義母様と叔父様の力関係を考えると、叔父様に謝罪をさせるということは難しかったはずです。
そしてこの時、叔父様が最後まで、ご自分が発言した内容を認めなかったと知りました。
私の作り話だと主張したようです。
こじれた話し合い
私の揺れる気持ちとは裏腹に、思うような謝罪が受けられなかった父の気持ちは収まりませんでした。
言葉を選びながら、言いたいことを言った父は、途中退席のような形で出て行ってしまいました。
それを見ていた母は「新しいお茶をお持ちします」と言い訳をしながら、急いで父の後を追いかけていきました。
私と一樹さんとお義母様の3人になると、お義母様が
「まおさん、こんなことになってしまってごめんなさいね。ちゃんと食事はしてる?」
そう心配してくれました。
一樹さんは
『(叔父様の所へ)まおさんを一人で行かせなければよかった。僕も一緒に行くべきだった』
そう繰り返していました。
私は
「私の方こそ、本当に申し訳ありませんでした」
と伝えました。
でも、全て後の祭りです。
一通の手紙
結局、父は戻って来ませんでした。
冷茶を持って戻って来た母と、
4人でしばらく話をしました。
しかし4人でどんなに話し合っても
解決などしません。
この日は私も、外に出て、
一樹さんとお義母様をお見送りしました。
どうにも中途半端な話し合いで、
解決もしなければ、
争いにもなりませんでした。
しかし、この後に届いた一通の手紙が、
このままでは終わらない事を
物語っていました。
叔父様は、保身に走ったのでしょう。
思いもよらない出方をしてきました。