お義母様からの電話
まおです。
一樹さんのスマホに掛かって来た電話は、お義母様からでした。
私は、キッチンで洗い物をしながら、電話の内容を聞いていないふりをしながら聞いていた。
そりゃ、気になりますもん。
ダンボより大きな耳で、全神経を集中させて聞いていました。
一樹さんも、私に電話の内容を聞かせたいようで、お義母様の言うことをリピートしてました。
『まおさん?』
『近くにいるけど・・・』
『電話に?出ないよ。』
『まおさんに話?叔父さんのこと?』
『僕が代わりに聞くよ』
『叔父さんがお詫び?まおさんに?』
ここで一樹さんが、私の方を振り向いた。
私は両手で大きくバツ×を作った。
どういった風の吹き回しか知らないけれど、叔父様が私に「お詫び(?)」をしたいと言っているらしい。
冗談じゃない!
今更、謝って済まそうなんて。
腹の底から怒りがこみ上げて来た。
ヒソヒソ話
私の様子を見た一樹さんは、寝室に入って行った。
どうやら、ここから先の話は、私には聞かせたくないようだ。
何で?
私に内緒で、何の話をするの?
私は、忍び足で寝室のドアの前まで行くと、ドアに耳を押し当てて盗み聞きを試みた。
盗み聞きが良いとか悪いとか、この際、そういう話は置いておこう。
とにかく息を止めて、かすかに聞こえる一樹さんの声を、繋ぎ合わせる。
でも『ああ』とか『それでいいよ』とか『ありがとう』くらいしか聞き取れない。
『ありがとう』って事は、何か好転したのか?
全く想像がつかない。
そうこうしているうちに、電話が終わりそうな気配がしたので、大急ぎでキッチンに戻って家事をしているふりをした。
結納の仲人さんが決まりそう
リビングに戻って来た一樹さん。
『仲人を引き受けて下さる方が見付かったらしい』
「えっ!本当?\(^o^)/」
やった!これで結婚式の予定が立つ!そう思ったのですが・・・
一樹さんは浮かない顔をしている。
仲人さんがどなたなのか聞いてみると、一樹さんのご実家の事業の、最重要取引先の会社の会長さんらしい。
???
一樹さんは後を継がないのに、よく、引き受けて下さったね。
引き受けるメリットがあったの?
古い付き合いだから?
イロイロ疑問に思う点はあったけれど、この時は、とにかく結婚の話が前に進んで嬉しかった。
浮かない顔をしている一樹さんの事など、一瞬で忘れてしまった。
そしてあれから1週間近く。
今、とんでもないことになっている。
どえらいことになっている。
『どーすんの?まおさん!!』
一樹さんも、オロオロしている。
私は・・・
どうしていか分からない。