パンプス
まおです。
今週も、一樹さんと会えた。
ただ、水曜日は大安で、私は披露宴の仕事が入っていた。
「水曜日は遅くなるから、木曜日に会おうよ」
そう言ったのだけど
『遅くなっても良いからおいでよ』と。
結局、夜8時過ぎに、新幹線の駅で待ち合わせた。
車の助手席に乗り込むと
『まおさん、靴を履き替えな』
そう言いながら、後部座席から、私のローヒールのパンプスを出してきた。
披露宴ではハイヒールのパンプスを履いて、立ちっぱなしで仕事をしている。
疲れているだろうから、履き替えなと言うのだ。
一樹さんだって、ついさっきまで忙しく仕事をしていたはずだ。
急いで着替えて、車を走らせて来てくれたのだろう。
自分だって疲れているはずなのに、私のパンプスを持ってきてくれる気遣い。
優しすぎてビックリする。
この人、一体どこまで優しいんだろう(笑)
結婚まで遠い
叔父様に無視されてから一週間。
正直、まだ、立ち直れていなかった。
この1週間、私と一樹さんの間で『叔父様』という単語は、全く出なかった。
電話でもLINEでも、あの話題に触れることは無かった。
私だけでなく、一樹さんも気にしている証拠だと思った。
お義母様からも、何の連絡もないみたい。
仲人さんや結納の話も、全く進んでいない。
ここに来て、結婚の話は何一つ進まなくなってしまった。
想定外だった。
プロポーズされて、お互いの両親に紹介して承諾を貰えれば、後は、目をつむっていても結婚できると思っていた。
まさか、こんなところで躓くとは。
それも自分の力では、どうにもならない事だった。
「披露宴をするんなら、早く準備しないと間に合わないよ」
そう言いかけて、何度も口をつぐんだ。
一樹さんだって分かっているはず。
それに一樹さんにも、どうにも出来ないことだ。
リフォーム
外で食事を済ませ、一樹さんの自宅へ戻った。
リビングのテーブルの上に、沢山のパンフレットがあった。
何だろうと思って手に取ると・・・
『キッチンのリフォームをしようか?』
そう言われて驚いた。
建ててから8年程で、室内はまだまだ綺麗だ。
でも、今のキッチンは、床から天板までの高さが、規格よりも高い。
恐らくだけど、一樹さんや前の奥様の身長に合わせて、設置したに違いない。
その為、小柄な私だと高すぎるのだ。
包丁を使う時、腕が疲れてしまう。
カップボードも高くて手が届かない。
踏み台が付いてるんだけど、それでも・・・届かない(^^;)
見ていて使いにくそうだし、危ないから、私の体格に合わせてシステムキッチンを新調してくれるという。
どうやら、私が仕事でデート出来なかった先日の日曜日に、既に業者さんと打合せをして、工期は押さえてくれたらしい。
『後は、まおさんが好きなシステムキッチンを選ぶだけだよ』
よく見ていてくれるなと思った。
恐ろしいくらい良く気が付くし、優しい人だ。
もしかしたら、私の心の声が聞こえてるのかな?^^
その晩は、遅くまで、一樹さんとシステムキッチンのパンフレットを眺めていた。
途中からメジャーを持ち出して、寸法を測りながら悩みに悩んだ。
でも、結局、決められなくて、ショールームに実物を見に行こうということになった。
何だか、久しぶりに楽しかった(●^o^●)
結婚するんだなって、ワクワクした。
もう親戚付き合いなんて無しで、一樹さんと二人だけで過ごしたいって思った。
現実逃避が始まったよ。
それくらい、叔父様に無視されたことは辛かったんだ。
そして一樹さんは、私の何倍も辛いんだと思った。