スマホが鳴る
まおです。
一樹さんが、私の隣でお昼寝を始めるとすぐ、私のスマホが鳴りました。
電話だったので、私が外に出て話をしようとすると、一樹さんが『ここで電話すればいいよ。』と言ってくれたので、その場で電話に出ました。
電話の相手は弁護士の佐々木先生でした。
佐々木先生と恋仲になった・・・とかいう話ではありません。
開業準備のお手伝いをすることになっていて、来週の火曜日に事務所のブラインドの採寸の立ち合いをお願いしたいという連絡でした。
経緯説明
簡単にご説明すると、佐々木先生は来年1月に東京から地元に戻って弁護士事務所を開業されるのですが、東京で残務処理が終わらない。
しばらくは平野先生の事務所の事務員さんが対応することになっていたのですが、なかなか忙しく手が回らない。
そこで誰か手伝ってくれる人が居ないかという話になり、平野先生から「まおさんに頼んでみては」という話になったらしいのです。
事務機器や家具の搬入時の立会いや、湯呑やポットなど、必要な物の買い出し等を頼まれていました。
しかし、このことを一樹さんには話していませんでした。
隠していたわけではなく、話をする時間が無かっただけです。
スケジュール帳を見せてごらん
電話は、ものの2分程で終わりました。
私はスケジュール帳に、忘れないうちに時間をメモしました。
何とな~く、一樹さんの視線を感じていましたので、法律事務所開所のお手伝いをすることになったと伝えました。
すると一樹さん、険しい顔をして『スケジュール帳をみせてごらん』と言うのです。
えっ?と思いましたが、別に見られて困ることは書いてないので一樹さんに見せたのですが・・・。
一樹さん『まおさんのスケジュール帳、10月も11月も予定がびっしりで真っ黒だよね。』
ま お「うん、12月の中旬までは忙しい時期だからね。」
一樹さん『書ききれないくらいの予定が入っているのに、本業以外の仕事を入れてどうするの?』
ま お「大丈夫だよ。木曜日は会えるように予定を・・・」
一樹さん『そうじゃないよ。1日に3組も披露宴の仕事が入っている日もあるのに、どうして体を休めないの。』
ま お「大丈夫だよ。健康管理には気を付けてるし。」
一樹さん『ナレーションの録音日前日は、夜遅くまで原稿書きしてるじゃない。疲れると声が出なくなるって言ってるじゃない。』
ま お「・・・・・」
一樹さん『どうして体を休めようと思わないの。どうして余計な仕事を安易に引き受けるの?』
ま お「余計って・・・」
一樹さん『佐々木先生の事務所の仕事は、まおさんでなくてもいいでしょ?』
ま お「だって信頼のおける人にお願いしたいって言われて・・・」
一樹さん『たった一度会っただけのまおさんを、佐々木先生は信用したの?』
ま お「・・・・・」
一樹さん『本業をおろそかにしちゃ駄目だよ。それにそんなにスケジュール詰め込むと体を壊すよ。』
ま お「・・・・・」
一樹さん『佐々木先生の事務所の仕事はお断わりしなきゃ駄目だよ。今すぐ断れよ。』
ま お「・・・・・」
今すぐ断れと言われても、開所準備のお手伝いをすることは約束していましたし、ブラインドの採寸の立ち合いも引き受けてしまいました。
引き受けた直後に断るなんて、カッコ悪くて出来ないし、そこまで言うことないじゃないかと思ってしまいました。