婚約指輪と幸せな時間
まおです。
レストランでディナーを済ませ、隣のラウンジに移動した。
薄明りの中でも、左手薬指のダイヤモンドは眩しいくらいにキラキラ輝いていた。
「うふふっ♥」
意味もなくにやけてしまう。
一樹さんも珍しく無口で。
夜景を眺めるふりをして、私の様子をうかがっている^^
幸せだなぁ~と思った。
唐突に聞いてみた。
「ねぇ、ねぇ、どうして私と結婚しようと思った?」
『まおさん、酔っぱらってるでしょ?』
もちろん、酔っぱらってるさ。
しらふじゃ聞けないよ。
「ねぇ、どうして?」
『好きになったから^^』
「どこを?」
『どこって・・・』
「どこ???」
『全部だよ(^^;)』
「具体的にどこ?ねえ、どこ?」
『もう、酔っ払いの相手はしないよ』
「あっ、そう。。。(-“-)」
公共の場で、それも酔っぱらった勢いでイチャイチャしてはいかんので、続きは部屋に戻ってからにしようと思った(^^;)
しかし、一樹さんの次の一言で、一気に酔いが醒めてしまった。
『あのね、まおさん・・・』
げっ!このタイミングで、一体、何を言われるのだろう(´゚д゚`)
酔いが醒めるひと言
一樹さんが大切なことを話し始める定番のセリフ。
『あのね、まおさん・・・』
「なっ。。。なあにぃ~(ー_ー)」
『例えばだけど、お仕事辞めようとか思ったりしない?』
「はっ?」
『ブライダルの仕事辞めようとか』
「思ったりしないよ!」
『だよね^^』
正直「今更、そんなこと言う?」と思った。
だって、あの時、ああ言ったじゃない!
「もしかして、お義母様に何か言われた?」
『違うよ。だってお袋は、まおさんが仕事していること知らないよ』
突然、私が結婚後も「仕事をする・しない」の話を、ぶり帰した理由が分からなくて、やんわり聞いた。
すると『最近、とても忙しそうで心配になった』と言われた。
こっそり誓う
反省した。。。
最近「忙しい」が口癖になってしまっていた。
ホワイトデーの今夜も、出掛けるギリギリまで洋室で原稿書きをしていて、出掛けにバタバタしてしまった。
仕事のことを考えていて、ボーっとしたりしている時もある。
これからは、一樹さんの前では仕事をしないようにしようと思った。
一樹さんが仕事を終えて帰って来た時に、仕事をしていた気配を残さないよう気を付けようと思った。
また『お仕事を辞めようとか思ったりしない?』なんて言わせたくないし、言われたくない。
一樹さんに「仕事が忙しい」なんて絶対に言わないと心に誓った。
ホテルの部屋に戻った一樹さんは普段通りだった。
私がシャワーを浴びて戻ると、既に、ベッドで寝息を立てて居た。
あの時と一緒だ^^
仕事終わりで疲れているのに、こうして計画を立ててホワイトデーをしてくれる。
一方の私は、一樹さんの気持ちも考えず「仕事が忙しいから」とデートを断ろうとする。
一樹さんが私に、本気で仕事を辞めて欲しいと思って言ったのか、その場の勢いで言ったのか、本心は分からない。
でも、これからは、そう言われないように気を付けよう。
だって仕事は、ずっと続けたいから。