婚約指輪
まおです。
「まおさん、ちょっとこっちに来て」
早くしないと、レストランの予約の時間に遅れてしまう。
そう思いながら、窓際で外の景色をのんびり眺めている一樹さんの元へ行った。
「どうしたの?早く行かなく・・・」
そう言いかけた時、一樹さんが小さな箱を私の目の前に差し出した。
「えっ!どうして?」
それは紛れもなく、あのジュエリーショップの箱。
でも一樹さんは、あの時「ホワイトデーに間に合いそうもない」って言ってたはず。
ピン♪と来た!
最初から、そういう計画だったんだ。
私を驚かそうとしたんだ。
私が仕事が忙しくて会えないと伝えても「どうしても今夜は会いたい」と言ってくれた理由が分かった。
「最初から、そう言ってくれればいいのに!いつ取りに行ってくれたの?内緒にしてたでしょ?何でぇ?驚かそうとした?ねぇねぇ・・・」
ひとりでテンション上がってあじゃあじゃしてたら「まおさん、静かにしてぇ~」と怒られた(-_-メ)
一生大切にするよ
一樹さんは、無言で箱から婚約指輪を取り出すと、そっと私の左手の薬指にはめてくれた。
指輪を左手薬指にはめるようになったのは、古代エジプト時代からだそうですね。
左手の薬指を流れる血液が、直接心臓に届くと考えられていて、愛し合う男女がこの指に指輪をすると、お互いの心が通じ合い共鳴し、未来永劫の愛が約束されると考えられていたそうです。
一樹さんは『まおさんのことを、一生大切にするよ』そう言ってくれました(/ω\)
薬指に輝くエンゲージリングに、うるっとなりそうになるのを堪えて「ありがとう。私も大切にするよ!指輪!」と答えました。
ん?
ん?
『あぁ、大切にするのは指輪かー』
「勿論、一樹さんのことも大切にするよ!」
当たり前だよ!
揚げ足を取らないでよ!
まぁ、私の言い方もおかしかったケド。
ちょっとテンション上がりすぎちゃったんだもん、許してよ!
一樹さんは一樹さんで、照れ隠しなのか何なのか
『大切にされるのは、僕じゃなくて指輪。ゆ~び~わぁ~』
なんて連呼して笑ってる。
一樹さんも、若干テンション上がり過ぎだ。。。
ディナーより婚約指輪
せかっく婚約指輪をはめてもらったので、そのままレストランへ。
ホワイトデーらしく、テーブルセッティングやお花が、可愛らしくアレンジされていた。
お料理は勿論美味しいけれど、左手薬指の婚約指輪が気になって気になって^^
照明にかざしてみたり、テーブルの下でじっくり眺めてみたり。
こりゃあ、間違いなく、給料の3か月分だな・・・なんて物思いにふけっていると、魚料理が運ばれてきた。
料理より指輪に夢中になっていると『まおさん、指輪は後にして!それより魚の骨に気を付けて食べて。ここで刺さっても取ってあげられないよ』だって( ̄▽ ̄)
ロマンティックな夜に、嫌なことを思い出させるじゃないか(-_-メ)
でもさ、もうあんな痛い思いをするのはこりごりだから、慣れないナイフとフォークで、骨がない事を確認してから口に運んだよ。
一樹さんは、それを見て、笑いを噛み殺していた。
本当に失礼しちゃう(ー_ー)!!
ちょっと私が不機嫌な顔をすると
『明日、このホテルのブライダル見学の予約をしてあるから、機嫌を直して^^』
そう言うではないか!!
あんなに結婚式をするのを嫌がっていたのに、この変わりようは何なんだろう!?
こういう気持ちの切り替えの早いところも、凄いなと思う。
ところでさ、ナイト会員の女性には、ホワイトデーのお返ししたのかな?
ちょっぴり気になるんだよねぇ(^^;)