純粋の意味
まおです。
ソファーに座ってすぐに「この間は、ごめんなさい」と謝った。
すると一樹さんは、それに対しては何も言わなかった。
代りに自分の気持ちを話し始めた。
『僕は、まおさんのことを純粋に好きになった』
『純粋』が何を意味しているのか定かではない。
恐らく、婚活で出会ったけれど、純粋に恋をした。
そう言ってくれたのだと思う。
『でも、まおさんは、僕のことを本当に好きなのかな?』
ビックリした。
そんなことを言われるとは、思ってもみなかったから。
私は頭の中で伝えたいことを整理した。
そして、はっきりと言い切った。
「一樹さんのことが大好き」
続けて、一樹さんの好きな所を羅列した。
「優しくて、いつも私のことを気にかけてくれる。
小さなことでも、ありがとうって言ってくれる。
スポーツマンで社交的で決断力があって博学多才。
歯科医師という職業だけでなく、患者さんや従業員さんを大切にする気持ちとか、経営者としても尊敬している。
一樹さんは、私に無い物を沢山持っている。
でも、一番好きなのは、お喋りが止まらない所だったりする。
整理整頓が苦手で、机の中を、すぐグチャグチャにしちゃったり。
家電の取扱説明書をたいして読みもせず、電源が入らないって大騒ぎしちゃう所だったり。
なんだか放っておけないの。」
『まおさん、これでもかって持ち上げといて、すごい勢いで落とすんだね(ーー゛)』
「大きな体で『僕のこと本当に好きなの?』って不安そうな声で聞いてくる一樹さんが、どうしようもないくらい好きなの(/_;)」
もう、思いつく限りの愛の言葉を囁いたよ。
もちろん、心からそう思っている。
仲直りしようか?
一樹さんの男らしい所とか、経済力とか、結婚相手として申し分ない。
でも、その反面、ちょっぴり子供っぽい所にも魅かれる。
人を好きになるって、こういうことかなと思った。
一樹さんは『僕って、もしかしてダメ男だった?』と笑っている。
「ううん。優しいマメ男さん」
『まおさんには、敵わない』
一樹さんは、ソファーに体をあずけ、目をつぶって何か考え事をしていたようだった。
そして、その姿勢のまま、こう呟いた。
『もう仲直りしようか?』
ホッとした。
正直、嬉しかった。
でも、問題の核心には触れてなくて。
このままでは、本当の仲直りにはならないと思った。