ハリー・ウィンストン
まおです。
外商サロンでは、ピンとくる婚約指輪が見つけられず。
嫌な脇汗をかいた私は、喫茶店でアイスティーを注文した。
一樹さんは『こんなに寒いのに?体冷えない?』と心配してくれたが、私はゴクゴク飲み干してしまった。
『もう少し見て回る?』と言ってくれたので、そうすることにした。
一樹さんは席を外した。
どこかに電話をしているようだった。
2~3分で戻ってくると『ハリー・ウィンストンへ行こう』と言う。
もしかしてHARRY WINSTON?
恥ずかしながら私の住んでいる田舎には、ハリー・ウィンストンはない。
せっかくだから連れていってもらおうと、二つ返事で付いて行った。
移動中の車の中で、スマホでお店の公式HPを見た。
げっ!
ごめんなさい。
HARRY WINSTON をナメてました。
婚約指輪の相場
車の助手席で、ひとり悶々としていた私。
一樹さんが『まおさん、どうしたの?車に酔った?』と心配してくれた。
これは、ハッキリ聞いておいた方が良いだろう。
私は遠慮がちに言った。
「あのさ、どの位かなと思って」
『なにが?』
「その、ご予算と言うかぁ・・・」
『はっ?そんなこと気にしてたの?』
一樹さんは苦笑いだった。
『そんなこと気にしないで、好きなのを選べばいいよ』
「そうは言っても・・・」
『そもそも予算外の商品を、まおさんの前に並べたりしないって』
どうやらあらかじめ予算を伝えてあって、予算内の商品が並べられていたらしい。
しかし値段に幅があったので、基準になるものが分からない。
もちろん値段で選ぶわけじゃないけど、だいたいの目安が欲しい。
すると一樹さん
『給料の3か月分でお願いできますか?(笑)』
私の失言
私は弱い頭で計算した。
一樹さんの年収 ÷ 12ヶ月 × 3か月分
でも「給料の3か月分」ってバブル時代の話じゃないのかな?
大分、無理してないかな?
それに、私は一樹さんの年収を大体でしか把握していない。
結婚相談所は登録時に「収入証明書」を提出させるので、大体の年収は把握できる。
しかし一樹さんは開業歯科医師。
言ってみれば自営業者だ。
その年度によって、収入は変わるだろう。
もちろんサラリーマンも一緒かもしれない。
ボーナスが何百万と出た年度は高収入だけど、極端な話、業績が悪ければ0円の年度もあるだろう。
男性側も「収入が高い方が、婚活に有利」ということは承知しているので、登録後、下方修正はしないだろう。
もちろん「高収入の男性と出会いたい」という女性側にも原因がある。
そしてこの後、私の失言で、一樹さんを怒らせてしまった。