彼の一人暮らしの自宅に初めて行く時
まおです。
そうなんです。
一樹さんは、長男ですが一人暮らし。
前の結婚と同時期に開業し、1階を歯科医院、2階を自宅としたのです。
離婚後も実家には戻らず、一人で暮らしていたようです。
一般的に、初めて交際しているお相手の自宅を訪ねるのって、何回目のデートの時なのかな?
私は実家暮らしなので、お相手を自宅に呼んだのは数えるほどです。
地元のお祭りや花火大会など、大きな行事の時にご招待するのみでした。
男性側からしたら、女性の両親と顔を合わせるのは気を遣うでしょう。
ですから、必然的にお邪魔するのは、お相手の一人暮らしの自宅になります。
やっぱり3回目のデートでお邪魔するのは早すぎるのかな?
でも、誘われて断るのも変だし。
かと言って、ホイホイ付いて行って、軽い女だと思われたくはない。
いや、30過ぎて、重いも軽いもないか。。。
隙を見せなきゃいいわけだ。
そんな、どーでもいいことを考えていたら、彼の自宅に着いてしまいました。
従業員用の出入口から入場
そこは閑静な住宅街の一角。
広い駐車場のある歯科医院。
四角い2階建ての白っぽい、ひと目見て歯科医院と分かる雰囲気の建物。
外壁にタイルが貼ってあり、高級感のある大きな建物でした。
入り口は、医院正面と従業員用と自宅玄関。
今日は、従業員用の勝手口からお邪魔しました。
一樹さんが鍵を開けてくれたので、後に続いて入って行くと、小さなシューズクローゼットに7足ほどのナースシューズ(?)が入っていました。
従業員さんの休憩室は畳で、五畳ほどのスペースがありました。
小さなテーブルとテレビと冷蔵庫と電気ポット。
カラーボックスには、コーヒーやら炭酸飲料やらチョコレートやらクッキーやら、おやつが沢山。
一樹さんは『アイツら、休憩中にこんな甘いもの食ってるのか?ここをどこだと思ってるんだ!』と笑っていました。
どうやら普段はあまり休憩室には入らないらしい。
『不用意に立ち入ったら、何言われるか分からないからね。』
『それに女性って、束になると怖いんだよ。』と、マジ顔で言う。
経営者として、見えない苦労があるようです。
女性は平等に扱わないといけない
一樹さんは『まおさんに、こんな話をするのも申し訳ないけど』と、日ごろの苦労を口にし始めた。
従業員さんは皆とても良い子で、仕事も一生懸命にやってくれる。
20歳~40歳の女性が働いてくれているけど、特に若い子はとても難しい。
少し教えてあげようとすると「注意された」とへそを曲げちゃう。
逆に、褒めてあげると「先生はあの人をひいきしてる」と言われちゃう。
上手く立ち回ろうとすると、最年長の衛生士さんから「先生は若い子に甘い」と叱られる。
特定の子と長く喋ったりすると、あらぬ噂を立てられるので、毎日必ず一人一人に声を掛けて、平等に平等にと心掛けてる。
正直、患者さんと同じくらい気を遣ってるよと。
それでも一樹さんの口調から想像すると、従業員さん達とは上手くやっているようで楽しそうだった。
でもさ、毎日、大勢の女性に囲まれて仕事しているなんて、ちょっとジェラシーだよ。
だって、歯科医師と歯科衛生士さんって、ぴったり寄り添ってお仕事してるじゃない?
それに白衣を着てマスクを付けた歯科医師さんって、5割増しで格好良く見える!
従業員さんに言い寄られたりしないのかな?
ここへきて、突如嫉妬心が芽生えてしまった。