たこ焼きのお土産
まおです。
一樹さんがテニス仲間との新年会から帰宅したら、急いで1階の玄関まで迎えに出ようと思っていた。
でも、思いがけず、女性の運転する車で帰宅するのを目撃してしまい、立ちすくんだ。
今、出て行ったらダメだ。
そんな気がして、一樹さんが2階にあがって来るのを待った。
『ただいま!』
「お帰りなさい」
『ごめんね。10分遅刻した^^』
22時迄に帰宅すると言って出て行ったのに、約束の時間を10分過ぎてしまったと謝る一樹さん。
「10分の遅刻は大罪だよぉ(-“-)」
なんて冗談めかして言ったら、私の目の前に小さな紙袋を差し出した。
『まおさんに、お土産を買ってきたよ』
地元で有名なたこ焼きだった。
タクシーで帰宅?
お茶を入れて、二人で向かい合ってたこ焼きをつまんだ。
だし醤油味のさっぱりとしたたこ焼きは、あっという間に二人の胃袋に消えてしまった。
「美味しかった。ご馳走様」
留守番をしている私のことを、気にしてくれた一樹さんの気持ちが嬉しかった。
「タクシーで寄り道してたから、10分遅くなっちゃたんだね。ありがとう」
さりげなく「タクシー」という単語を入れてお礼を言った。
『どういたしまして』
一樹さんは、否定しなかった。
女性に送ってもらった事を隠した。
嘘を付いた。
私は、そんな風に感じてしまった。
一樹さんが私に向けてくれる愛情は、疑う余地がない。
2次会を断って、お土産まで買って帰って来てくれた。
他に交際している女性が居るとか、微塵も疑ってはいない。
帰り道が同じ仲間に、送ってもらっただけ。
たまたま、それが女性だっただけ。
ただ、一樹さんがそれを内緒にしたことが嫌だった。
背を向けて寝る
一樹さんがベッドに入って来た時、反射的に寝返りを打って背を向けてしまった私。
『まおさん、どうして今夜は反対を向いちゃうの?』
グズグズ悩んでいる自分が嫌だったので、思い切って聞いた。
「だって、一樹さん、赤いタクシーに乗って帰って来たんだもん」
『まおさん、見てたのか・・・』
「女性に送ってもらったこと、私に黙ってた」
『わざわざ報告することでもないかと思ったんだよ』
「タクシーで帰って来たって嘘ついた」
『嘘を付くつもりはなかったよ』
「分かってる。面倒くさいこと言ってごめんね」
どっちが悪いのか分からないけれど、取り合えず私が謝った。
結局、この夜は、一樹さんに背を向けたまま寝てしまった。
つまらないヤキモチ。
情けなくて泣きたくなるよ。
一樹さん、度々嘘をつく人だなぁという印象があります…あまりのめり込みすぎず、少し疑う冷静さも必要なのかな、と…読んでいて思いました。
みさみささん、コメントありがとうございます。
「どうして正直に話してくれないのかな?」という思いがあります。
ほとぼりが冷めたら、話をしてみようと思っています。
心配して下さって、ありがとうございます< (_ _)>