夢でうなされる
まおです。
朝方、嫌な夢を見た。
『まおさん、大丈夫?うなされてたよ』
一樹さんに揺り起こされ、目が覚めた。
「髪が抜ける夢を見た」
『髪が抜ける?』
少し前、治療でリュープリン注射をした時、副作用で髪が抜けた。
ホットフラッシュにも苦しんだ。
薬剤師さんから、副作用が出るとしたら、3回目の注射以降だろうと言われていた。
でも私は、1回目の注射をして3週間で髪が抜け始めた。
頭皮がヒリヒリして変だなと思っていたら、シャンプーをするたびに、尋常ではない量の髪が抜けていった。
結局、副作用が強くて治療は断念。
のちに、リュープリンが、がん治療にも使われる強い薬だったと知ってショックを受けた。
友人が同じリュープリン注射を半年受けて、全く副作用が出なかったと聞いていたので、その時は「どうして私ばかり?」と落ち込んだ。
「病は気から」で、自分のメンタルが弱くて副作用が我慢出来なかったのかもと情けなく思った。
期待して治療を始めただけに、治療を続ける選択も、止める選択も辛かった。
一樹さんから、副作用は人それぞれだし、お友達とはリュープリンの投与量も違ったかもしれないよと慰めてもらった。
この日の朝も、『もう注射はしてないし、脱毛も止まってるから心配しなくて大丈夫だよ』と言ってくれた。
小さな幸せ
この日は1月7日。
七草粥を作った。
『七草粥なんて何十年振りかな?』と
感激しながら食べてくれた一樹さん。
お粥ひとつで、こんなに喜んでもらえるなんて思わなかった。
本当に小さな幸せ。
でも、私にとっては大きな喜び。
結婚生活って、小さな幸せの積み重ねなのかもしれないな。
この日は、珍しく外出せず。
一樹さんも疲れていた様子だったので、撮り溜めたお正月番組を観たりしながら、のんびり過ごしました。
そして、夜は、一樹さんはテニス仲間との新年会へ。
交際を始めた頃から、テニスやゴルフへ出かける時は「気持ち良く送り出して欲しい」と言われていたので、その通りに。
もちろん、心から楽しんできて欲しいと思って送り出しました。
小さな嘘
『22時までには戻って来るから』
そう言って出掛けた一樹さん。
恐らく、1次会だけ参加するつもりだったのでしょう。
22時を過ぎて、そろそろ帰ってるくかなと、2階の窓から外を見ていると、医院の駐車場に1台の車が入ってきました。
助手席から降りてきたのは一樹さん。
タクシーで帰って来るとばかり思っていたので、ちょっとびっくりしました。
どなたかに送って来てもらったのでしょう。
運転席の誰かに、一樹さんがお礼を言っている様子がうかがえます。
運転席に座っているのは、何となくですが女性っぽい。
車種・車の色・一樹さんの様子・車のフロントガラスから覗いた運転席の人影。
たぶん・・・女性だ。
そしてこの後、一樹さんは、小さな嘘を付いた。