明さんとのこと
まおです。
日曜日にお見舞いに来てくれた明さん。
一樹さんと鉢合わせしたので、月曜日はもう来ないだろうと思っていたのですが・・・
来てくれた。
「来てくれた」と言うより
「来ちゃったの?」的な感じかも。
お見舞いの気持ちは本当に嬉しいです。
病気で気弱になっている一人ぼっちの病室に
ふらっと現れ5分で帰る。
不安な気持ちをしばし忘れ、心が暖まります。
でも、明さんとことは私の中で過去のことになっていたので、毎日現れる明さんに戸惑ったのも事実です。
食事のお誘い
この日の帰り際、明さんから『元気になったら、また食事に行きましょう!』と誘われました。
私は失礼のないように「そうですね。皆で行きましょう!」とお返事しました。
二人だけでは行きませんよという意思表示でした。
しかし明さんはすぐに
『二人きりではダメってことですか?』と。
「えっと、はい。すみません」
『どうしてですか?』
「実は、お付き合いを始めた方が居るので」
『昨日、病室でお会いした一樹さんですね』
「あ、はい」(名前を知ってるの?)
『とても良い方ですね』
「え?」
『今、まおさんは具合が悪くて眠っているけど、宜しかったらどうぞって言ってくれたんですが、お邪魔だと思ってチョコだけ渡して帰りました。』
そうなんだ。
一樹さんが追い返したわけじゃなかったんだ。
天秤OK?
『ご結婚されるんですか?』
明さんは、物事をハッキリ言うタイプです。
遠慮なんて言葉は、明さんの辞書にはありません。
ストレートな質問に動揺した私。
「まだお付き合いを始めたばかりなので」と
馬鹿正直に答えていました。
すると明さん
『じゃぁ、食事くらいは良いですよね?』
「はい。いや、あんまり・・・」
『ご結婚が決まっているなら諦めますが、そうでなければ良いでしょう?』
「でも二人きりはちょっと」
『何なら天秤にかけてくれて構いませんよ』
「そんな女性が好きなんですか?」
『最終的に、僕の所に来てくれれば問題ありません』
「私はそういうことは出来ないので」
『まおさんの、そんな所が好きなんです』
「・・・・・。」
住宅メーカーのトップセールスマンで自信家の明さん。
ここまでハッキリ言われると、その男らしさに一瞬心が揺れました。
「一瞬」だけですよ。
こんなに面と向かって告白されたら、
落ちる女性も居るかもと思いました。
一樹さんのことを「とても良い方」と肯定し
その後で、自己アピールをするって王道だ。
ただ、その自信過剰な所にちょっと驚く。
でも、それも作戦かもしれない。
しかし、その作戦には乗れない。
お見舞いをお断りしても来てくれる明さんに「明日(火曜日)に退院出来そうです」と伝えました。
もちろんまだ退院の日は決まっていなかったのですが、こうするより他に方法がありませんでした。
それ以降、明さんはいらっしゃいません。