ホテルのフレンチレストランへ
まおです。
南さんから、カツラの彼氏と内科医の彼氏と一緒に食事をして欲しいと言われ、断れなかった。
既に、彼には連絡済みで、レストランも予約してくれているらしい。
交際間もないカップルのデートに同席するなんて、お邪魔じゃないかい?
それに初めて会う、ひと回りも年上の男性と、何を話していいか分からないよ。
「彼と二人で、ゆっくりお食事しなよ。」とやんわり断ってはみたものの、彼の人柄を見て欲しいと言われて、結局、3人で食事をすることになった。
場所は、ホテルのフレンチレストラン。
こりゃまた、たいそうなレストランをご予約頂いたみたいで、更に気が重くなった。
地獄のディナーの始まり始まり
約束の時間より少し早めに、南さんとレストランの入り口で待っていると、間もなくスーツを着た小柄な男性がやって来た。
南さんは小声で「あの人だよ。」と私に言った。
なるほど、どう見ても30代半ばにしか見えない、若々しい感じの男性だ。
挨拶を済ませると、早速、レストランの席に着いた。
街のネオンがとても綺麗に見える、高層階のフレンチレストラン。
恋人同士には最高の場所だろうが、私は緊張で手に汗をかいていた。
大切な親友の彼氏だ。
失敗する訳にはいかない。
「良い友達だね。」と言って貰えるレベルまでもっていかなくてはならないのだ。
南さんの彼のお名前は聡志さん。
若々しい外見とは違い、お話を始めると、非常に落ち着いた年相応の男性という印象だ。
話題を提供するのは、聡志さん。
それに丁寧に相づちを打ち微笑む南さん。
はたから見たらお似合いのお二人だ。
が、その話の内容が政治経済やら科学やら、およそ恋人同士の会話とは思えない。
私は前菜が出てきた時点で、既に、二人の会話に入れなかった。
お肉料理が運ばれてきたときには、完全に消化不良だった。
それに、二人の会話に入れなかったのは、もう一つ理由がある。
そう、聡志さんのヅラから目が離せない(-_-メ)
薄暗い店内で、真上からあたる間接照明の光が、聡志さんの頭頂部を照らす。
安いカツラは光に反射してテカテカ光るが、聡志さんの頭は光らない。
ヅラだとしたら、かなり高価なモノを被っているに違いない。
見てはいけない。
見てはいけない。
そう思えば思うほど、釘付けになる。
聡志さんに、頭頂部を見ていることを気付かれてはならないと意識するほど、目が泳いでしまう。
この状態で、小難しい会話に入って行けるはずもなかった。
もう、気を遣うし、居心地悪いし、地獄としか言いようのない時間だった。
デザートが運ばれてきた
デザートのフルーツが運ばれてくるころには、政治経済の話も一通り終わり、世間話に突入した。
聡志さんは私に気を遣って下さったようで、いろいろ話を振ってくれた。
南さんと私は同業者なので、私の仕事にも理解を示してくれた。
しかし、ご自身のことはあまり話さない。
根掘り葉掘り聞く立場でもないので、私の話をしてお開きになった。
この時点で20時30分。
会計を済ませて下さった聡志さんに丁寧にお礼を言って、お邪魔な私は早々に失礼しようと思ったのだが、聡志さんは一人で帰って行った。
結局、私と南さんで、2次会をした。
デートも、いつも18時に待ち合わせて、21時過ぎには帰宅してしまうそうだ。
会話の内容といい、たった3時間のデートといい、何か違和感のある男性だった。
こんばんは
南さんとは戦友のような関係性なのかもしれませんが、そろそろ縁を切った方がいいんじゃないでしょうか。なおさんが今やっていることってまおさんにとって何かメリットありますか?すべての物事をメリット・デメリットで考える必要はないと思っていますが、時間は有限です。もっと有効に使った方がいいのではないでしょうか。南さんは過去の行動からして非常識なこともする人です。そうせざるを得ない状況にあったとしても、最終的に理性でそれを止められる、止められないとあると思いますが、南さんは後者の印象を受けます。もう目的は果たしましたよね?まおさんが幸せになるためにも、これ以上深入りしないことをオススメします。
ご心配&アドバイスありがとうございます。
まさに戦友と言えると思います。
誰にも信じてもらえないような泥沼の恋愛で傷ついた気持ちを、何も言わなくても理解してくれる貴重な友達です。今、振り返ると、私も南さんも常識を超えるような行いでした。きっと今後、同じような行いをするようなら、私は南さんを、南さんは私を「見捨てる」と思います。そんな事の無いように、二人で幸せな恋愛をしていけたらなと思っています。