華さんに会いに
まおです。
華さんのお母様が、華さんの眠る墓地に案内してくれました。
小高い丘の上にある墓地は見晴らしがよく、遠くに海も見えました。
真新しいお墓に眠っているのは、華さんだけ。
「いずれ私と主人も、ここに入る事になるわ。」と、華さんのお母様は笑っていらっしゃった。
でも、お母様の心中を思うと複雑だ。
まさか華さんが、最初に、この墓地に眠ることになるなど、御両親は想像もしなかっただろう。
「頑張り屋で思いやりのある子だったけれど、順番を守らないなんて。こんな親不孝な事はないわよね。」
そう言って笑った、お母様の横顔が寂しげだった。
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お別れのとき
華さんのお別れの時は、突然だったそうだ。
それまで調子良く過ごしていたのに、亡くなる2日程前から、意識が混濁するようになったらしい。
お別れのときは、家族と交際していた男性に見守られながら、息を引き取ったそうだ。
眠ったまま、小さなため息をつくような呼吸を最後に旅立ったと、お母様が話して下さった。
とても穏やかで、優しい顔をしていたと伺った。
本当に静かな旅立ちだったと。。。
「人は死んだらどこに行くのかな?」
そんな話を華さんとしたことがあった。
「天国かな?地獄かな?」
笑いながら、でも真剣にそんな話をした。
でも今、分かった。
人は死んだら、自分のことを思ってくれる人の心の中で、生きていくんだと思う。
それを「思い出」と呼んでいいのか分からないけれど、今、華さんは私の心の中に居てくれる気がする。
華さんと過ごした時間は1ヶ月程。
短い間だったけれど、華さんと出会えて本当に良かった。
毎日を精一杯生きることを教えてくれた華さんに、ありがとうの気持ちを伝えたい。
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