一樹さんに詰め寄った
まおです。
華さんの訃報を聞いた夜、
一樹さんの前で泣きました。
突然すぎて受け入れられないこと。
お見舞いに行けなかったこと。
そしてお別れにも行けないこと。
『まおさんが、ショックを受けるだろうと心配だった』
私は華さんの病状がこんなに悪いとは、
全く気付いてはいませんでした。
しかし一樹さんは、華さんの様子から
思わしくないことを察していたようです。
「どうして、あの時、教えてくれなかったの?無理してでもお見舞いに行こうって言ってくれなかったの?」
私は、やり切れない気持ちを、
一樹さんに向けてしまいました。
『熱があるのが分かっていて、ホスピスにお見舞いに行けないでしょ?』
もちろん分かっている。
華さんにも、他の患者さんにも迷惑だ。
それでも一樹さんに詰め寄ってしまった。
そしてそんな自分が情けなかった。
何より悔しかった。
あんな大事なタイミングでどうして
熱なんか出ちゃったんだろう。
お別れに行けない
一番辛かったのは、華さんのお別れの式に出席出来なかったこと。
お別れの日は、酷暑で41.1度を記録した22日の月曜日だった。
私の熱は下がっていたものの、貧血が改善されていなかった。
また、華さんのご実家が遠方だったこともネックになった。
担当医の先生から「この猛暑で健康な人でも外出は危険。発熱の原因もはっきりしないし許可出来ない。付き添いがあってもダメ」そう言われてしまった。
結局、華さんのお別れの式が執り行われた日は、華さんと交換したLINEの記録を眺めて、ひとり病室で偲びました。
華さんが教えてくれたこと
華さんと過ごした時間は、ほんの僅かでした。
でも、華さんは沢山のことを教えてくれました。
まおさん、人生って意外と短いよ。
泣いて過ごしても、笑って過ごしても、同じ1日。
過ぎたことを悔やんでも仕方ない。
誰の人生でもない、まおさんの人生だもん。
他人がどう思ったって関係ない。
まおさんの思うように生きればいいよ。
他人の価値観に振り回される必要なんてない。
結果がいつも吉と出るわけじゃないけど、
やらない後悔をして欲しくない。
まおさんは幸せ者だよ。
あんなに大切にしてくれる人がいる。
二人で歩んだら、人生10倍楽しいよ。
最後の最後に「楽しかった」って思って
人生終わりたいよね^^
私の人生も十分楽しかったよ。
ちょっと短かすぎたけど(^_-)-☆
そう言ってケラケラッと笑った華さんの声が、今も耳元で聞こえるような気がする。
ありがとう、華さん。
そして、さようなら。
また会う日まで。